介護のキホン
医療・健康・介護のコラム
「お風呂に入れて」「家事を手伝って」…要望して練り上げ見直しも <ケアプラン作りのコツ>
前回、自治体から「介護が必要」と認定を受けるまでの流れを中心に説明しました。デイサービスや訪問介護など公的介護サービスを実際に利用するには、利用者の心身の状態、介護を担う家族の状況などに応じた「ケアプラン」作りが必要です。ケアマネジャー(介護支援専門員)に依頼するのが一般的です。
在宅で介護サービスを受ける場合、地域包括支援センターに相談したり、居宅介護支援事業所に連絡したりして担当のケアマネジャーを決めます。適切な介護サービスを受けるための相談に乗ってくれ、行政や介護事業者との連絡・調整役も担います。
東京海上日動ベターライフサービスの居宅介護支援事業所「みずたま介護ステーション柏」の主任ケアマネジャー、武藤めぐみさんは「ケアマネジャーを決める際、お風呂に入れてもらいたいとか、家事を手伝ってもらいたいとか、希望するサービスの方向性を示すとスムーズです」と助言します。利用者や家族との相性も大切。女性か男性か、ゆったりした人かテンポ良く話す人か、といった希望に応じることも可能だそうです。
ケアマネジャーが利用者宅を訪問し、アセスメントと呼ばれる面談をします。健康状態や日常生活の状況、本人や家族の希望などを聞き取ります。そうした情報などを基に、ケアマネジャーが介護サービスを提案します。初めから最適なサービスに出会えるとは限りません。ケアマネジャーと相談したり、事業所を見学したりしながら、ケアプランの原案を練っていきます。 ケアマネジャーが決まったら、契約を経て、ケアプラン作りが始まります。利用者やその家族の希望や状況に対応した支援方針や、介護サービスの目的や内容などをまとめた計画書のことです。
その後、利用者や家族、ケアプランに盛り込まれた介護事業所の担当者らで、サービス担当者会議を開きます。この時点で、どのような生活になるかのイメージが、かなり見えてくるはずです。利用者や家族の同意を得て、ケアプランが完成します。作成費用の自己負担はありません。
武藤さんは「ケアプラン作りでは、苦手なことや、やりたくないことなども遠慮せずに伝えてください。必要だと思うサービスを提案するので、初めての経験で戸惑う場合もあるかもしれませんが、見学や体験をしてみるなど前向きに検討していただけるとありがたいです」と話しています。
ケアプランには、「短期目標」と「長期目標」が記載されています。例えば、「自分で歩いてトイレに行けるようになりたい」「家の階段を上りたい」といった長期目標を設定し、そのために、「毎日、立ち座りの練習をする」などの短期目標を立てます。
ケアプランは一度作って終わりではありません。介護サービスが始まってからも、月に1回はケアマネジャーが利用者と面談するのが基本です。その際、体調や状態、受けたい介護の希望に変化がないかなどを聞かれるはずです。必要に応じてケアプランを見直していくことが、大切なポイントです。(小野健太郎)
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