なかさとみ「吉本芸人 卵子提供で2人のママに」
妊娠・育児・性の悩み
卵子提供の契約直前「生まれる子のことを考えたら怖くなった」と涙で相談
みなさん、こんにちは。なかさとみです。世の中の人たちに少しでも卵子提供について知っていただくために、このコラムではいろいろと詳しく書いていこうと思っています。今回のテーマは「告知について」です。
私は2019年に卵子提供についての自助グループを作り、200件以上のご相談にあたらせていただきました。そこでとても痛感したことは、ほとんどのご夫婦が卵子提供について正しい知識を得られないまま、卵子提供を受けることを決めているということでした。
卵子提供の相談窓口はなく、ほとんどが自己決定
日本にはいまだに、卵子提供を考えている全ての人が相談できるような「専門的な機関」や「窓口」がありません。ほとんどのご夫婦はネットなどの情報を頼りに、卵子提供を受けることを自己決定しています。
精子提供には「すまいる親の会」という専門家の方が作られた自助グループが15年以上前からありますが、卵子提供については、私が作るまでは、長期的な自助グループはほとんどと言っていいほど存在していませんでした。
本来であれば卵子提供や精子提供は、ご夫婦による自己決定ではなく、「専門家によるカウンセリング」をきちんと受けてから決めることが、とても必要であると私は感じています。
しかしながら、現状はそのようなものは何もなく、不妊治療と同じようにご夫婦による自己決定に委ねられています。このような状況ですから、時として卵子提供では様々なことが起こります。
いざ契約という段階で告知に悩む
A子さんも、ネット情報から卵子提供を考え始めたご夫婦でした。19年9月に私が開いた卵子提供のお茶会に参加してくださり、そこから折に触れてA子さんのご相談にあたらせていただいておりました。ある日、A子さんから切羽詰まった内容のメールを頂き、急遽、オンラインでのご相談をセッティングしました。
エージェント(仲介業者)が決まり、いざ契約となった段階で急に怖くなり、私に相談したいとのことでした。
A子さんは「お茶会の時に、なかさんが告知についてもたくさん話をしてくれて、資料もたくさん持って来てくれたのに、私たちはエージェントの話に没頭してしまい、大切な告知についての話をちゃんと聞いていなかった」と涙ぐんでいらっしゃいました。契約書にサインをする段階になり、そこで初めて「生まれてくる子供」の立場になって考えたら、怖くなってしまったということでした。
このような瞬間こそ、私は自助グループを作って本当に良かったなと思います。
卵子提供を選んだ誰もが通る道。私が卵子提供を受けようと決めた時には、このような不安な気持ちを相談する場所さえありませんでした。不安な気持ちのまま、決めてしまうのは絶対に良くないことだと私は思います。ですので、一日も早く、何かしらの対策を講じることは急務であり、重要なことだと思っています。
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