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わたしのビタミン

医療・健康・介護のコラム

たばこに万引き、家出…非行少女だった私に向き合ってくれた先生 「人生の背中を押す仕事がしたい」と

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犯罪歴や非行歴のある人向けに求人誌を発行する…三宅晶子さん(50)

失敗も「学び」 必ずやり直せる

富永健太郎撮影

 求人誌「Chance!!(チャンス)」を創刊して3年になります。これまでに13号を発行し、最新号は少年院や刑務所、社会復帰を支援する更生保護施設で約3500部配布しました。

 「やり直す覚悟のある人を応援したい」と求人を寄せる事業主は延べ80を超え、出所を待っている人も含めて、これまでに125人が内定を得ることができました。少しずつ活動が実を結んでいると感じます。

 かつて私は非行少女でした。銀行員の両親は仕事や社会活動に忙しく、話を聞いてもらえない寂しさがありました。中学生になると、たばこにお酒、万引き、家出を繰り返しました。

 それでも中学の担任は、家出先まで迎えにきてくれたり、「目先のことでなく、5年、10年先を見なさい」と諭してくれたり――。真剣に向き合ってくれた先生の存在に救われました。

 高校は1年で退学。未来が見えない不安がありましたが、16歳の時、一念発起して大学に行くと決めました。勉強に身が入らない時もありましたが、授業が面白い予備校の先生を見て、「学校の先生になりたい」と思うようになり、何とか頑張ることができました。

 そんな経験から、大学を卒業して会社勤めをしながらも、「誰かの人生の背中を押す仕事がしたい」と思っていました。

 2014年に会社を辞めた後、非行少年や出所者の自立を支援する団体でボランティアをしました。仕事や人間関係がうまくいかず、刑務所に戻るために罪を犯す人がいることにショックを受けました。社会復帰を支援するために有料職業紹介を始めたのですが、うまくいかず停滞していた時、求人誌の発行を思いつきました。生活の支えとなるように社宅や寮のある仕事を紹介しています。

 求人誌を通じて就職した人の中には、一生懸命仕事をしている元暴力団幹部もいれば、周囲とのトラブルが絶えない人もいます。「失敗も学びのうち」と捉えることで、「本人には必ずやり直せる力がある」と考えるようになりました。

 今後は再犯防止に向けた教育支援にも取り組みたいです。「人は変われる」と信じ、背中を押し続けます。(聞き手・粂文野)

 みやけ・あきこ  1971年、新潟市出身。早稲田大卒業後、会社員を経て、2015年に株式会社「ヒューマン・コメディ」(東京)を設立。少年院や刑務所で、「生き直し」などのテーマで講演も。

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 「わたしのビタミン」では、社会保障に関わる人が大切にしている思いや経験を語ってもらいます。その人を力づけ、周りにも元気を与える。そんなビタミンのような話を聞いていきます。

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