著名人インタビュー
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[漫画家 蛭子能収さん]認知症(3)家庭顧みずギャンブル…迷惑かけた19歳下の妻へ 今は素直に「ありがとう」
診察の様子がテレビで放送されると、認知症と診断されたことがネットニュースなどで大きく取り上げられた。心配する声もあったが、元々細かいことは気にしない性格で、それまでとほとんど変わらない暮らしを送っている。
ただ、妻との関係には小さな変化があった。
若い頃からギャンブル三昧。家庭も顧みず、競艇場に通い詰めた。先妻を亡くした後、2007年に現在の妻と再婚してからも、それは変わらなかった。
「自分の好きなことだけやってきた。女房にはずいぶん迷惑もかけたけど、面と向かってお礼を言ったことなんてなかったよね」
ところが自分の病気を知ってからは、「ありがとう」という言葉が自然に出てくるようになった。
最近では、妻の姿が見えないと落ち着かない。泊まりがけで撮影がある時など、夕暮れが迫ってくると無性に家に帰りたくなって「泣きたいほど悲しくなる」。
好きでたまらない気持ちを伝えたいとも思うが、「あんた何言ってんのよ」なんて言われそうで、なかなか口に出せずにいる。
このほど、マンションの名義を妻に移した。認知症が進んでお金が必要になった時に、妻の判断で売却したり賃貸に出したりできるようにしたのだ。19歳年下の妻には、まだまだ長い人生がある。
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漫画家 蛭子能収 さん(73)
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