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新・のぶさんのペイシェント・カフェ 鈴木信行

医療・健康・介護のコラム

「再発性多発軟骨炎(RP)を知って」 患者会で啓発活動 医療者向けにも情報発信

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 ここは、ある下町にあるという架空のカフェ。オーナーののぶさんのいれるコーヒーの香りに誘われ、今日もすてきなゲストが訪れて、話が弾んでいるようだ。(ゲストとの対話を、上下2回に分けてお届けします)

和久井秀典(わくい・ひでのり)さん

【今月のゲスト】
和久井秀典(わくい・ひでのり)さん

 18歳の時に再発性多発軟骨炎と診断される。咽頭軟骨に狭窄による気管切開。その後も、再発性多発軟骨炎に伴い、3回のがんをはじめ、腰椎や大腿(だいたい)骨、肋骨など多数の骨折、左耳失聴、視野狭窄、腎臓結石などを患う。2012年、再発性多発軟骨炎(RP)患者会の副代表に就任。指定難病の認定へ向けての活動などに従事。16年に結婚。  
再発性多発軟骨炎(RP)患者会ウェブサイト  https://www.horp-rp.com

再発性多発軟骨炎の和久井秀典さん(下)

関係する医療の学会にも参加

関係する医療の学会にも参加

 今日の私のカフェには、再発性多発軟骨炎の病気を持つ和久井秀典さんが奥様とお越しになっている。

 彼は、自身の病気とのかかわりを生かして患者会で活動し、病気に関する様々なことを情報発信している。再発性多発軟骨炎の患者が集まって組織している「再発性多発軟骨炎(RP)患者会」の副代表を務めている。※RPは、再発性多発軟骨炎(Relapsing Polychondritis)の略称。

 会は2008年に設立された。彼は当初からかかわっている。会が設立された当時、この疾患は国の難病に含まれていなかった。このため、高額な医療費や関連する用品の購入費などがかかる一方で、定職に就くことが難しい方もいるなどの問題があった。

 そこで、新しく指定難病の制度が始まるのを視野に、難病の指定を受けるための署名活動などを行った。そういった取り組みを通じて、組織で活動する意義を見いだしたそうだ。

少ない患者数 研究への協力の依頼も

 患者数が少ないために、医療者でも情報が乏しい。たとえ疾患が確定したとしても、診断をしてくれた医師にそのまま診てもらえるとも限らない。多くの診療科を受診することが必要であるために、通院も大きな総合病院に限られる。

 大学や企業側にとっても、研究に必要な患者数を集めるのが難しいことが、この病気の研究が進まない課題となっている。

 それらをつなぐ役割をこの患者会は担っている。

 会には、患者からの相談が来るのはもちろん、医療者からの問い合わせもあるという。患者会の集まりに大学の研究者が訪れ、研究のための検体の提供を依頼されることもあるらしい。

 私自身、多くの患者会を見てきたが、これほどまでに患者が情報の拠点になっているのは珍しい。

 「少しずつ医師にも周知されつつあり、正しい診断がされやすくなって、早期発見、早期治療ができるようになってきました」

 和久井さんは淡々と話す。視点は未来を向いている。

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鈴木信行(すずき・のぶゆき)

患医ねっと代表。1969年、神奈川県生まれ。生まれつき二分脊椎の障害があり、20歳で精巣がんを発症、24歳で再発(寛解)。46歳の時には甲状腺がんを発症した。第一製薬(現・第一三共)の研究所に13年間勤務した後、退職。2011年に患医ねっとを設立し、より良い医療の実現を目指して患者と医療者をつなぐ活動に取り組んでいる。著書に「医者・病院・薬局 失敗しない選び方・考え方」(さくら舎)など。


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