楢戸ひかる「シニアライフの羅針盤」
「人生100年時代」と言われるようになりました。この長い後半生、「今まで通り」のやり方では乗り切れないかもしれません。やがて来る「シニアライフ」を実りあるものにするためには、今、どんな備えをしておけばいいのか? お金のこと、そしてお金以外のこと……マネーライターの楢戸ひかるさんと一緒に考えていきましょう。
介護・シニア
まだまだ学費がかかるシニアへ 有利な奨学金は「高3の春」がチャンスです
大切なのは早く動き出すこと
こういった新情報と併せて知っておきたいのは、やはり従来の奨学金制度です。奨学金といえば、JASSO(独立行政法人 日本学生支援機構)が有名ですが、利用したくても、最初の一歩をどう踏み出せばいいか、迷うのではないでしょうか? 竹下さんは、こうアドバイスしてくれました。
「奨学金を上手に利用するには、何よりも早く動き出すことが大切です。なぜなら、経済的に安心して大学に進学するために、ぜひとも活用したい 『給付型』や『貸与型の第一種(利子がかからない奨学金)』を高校在学中に申し込めるチャンスは、高校生3年の春先だからです。 お子さんが通っている高校を通じて、奨学金の『予約採用』の説明会と申し込みがあります。奨学金は、進学後に手続きをする段階で、辞退したり、金額や返還方式を変更したりすることが可能なので、『志望校が決まっていない』とか『進学するかどうかを迷っている』という場合でも、とりあえず、高校を通じて予約採用の方法はチェックしておくと安心です」
JASSO以外の選択肢もある
JASSOでは、給付型を受けられる学生の人数=枠を拡大していますが、全員、給付型を受けられるわけではありません。給付型が受けられない場合、多くの人は貸与型の第一種、もしくは第二種(利子がかかる奨学金)を借りることになります。
「その前に一度、JASSO以外の給付型奨学金を申し込むことも検討してみましょう。大学が独自に用意しているものや、企業、地方自治体、財団、任意団体など、さまざまな組織・機関・団体にも『返さなくていい』給付金の制度があります。こうした給付型奨学金についても、やはり注意したいのは 申し込みの時期 です。高校3年の9~10月頃に申し込むなど、意外に締め切りのタイミングが早いものもあります」(竹下さん)
私の過去のコラムでも、一度、取り上げたことがありました。 志望大学のリサーチ項目に、「奨学金制度の状況」を加えてみると良いでしょう。
自分で動かないともらえない
最後に、大切なことをひとつ。全ての奨学金は、自分で動く(自分で申請する)必要があります。奨学金の取材をすると、必ずと言っていいほど、「奨学金の情報が、本当に必要としている人に届かない」という話を聞きます。「うちは、お金がないから」と、進学できる方法を探す前に諦めてしまう高校生は、大人が思っている以上にいるようです。
たとえば、 甥 や 姪 、仕事先で出会う学生さんなどにも、「奨学金って、意外とたくさんあるらしいよ」といった話を伝えてみてほしいと思います。シニアライフ世代にとって、次世代の育ちを見守ることも大切な「備え」なのではないでしょうか?(楢戸ひかる マネーライター)
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