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ビスフェノールA曝露と児の精神症状リスク

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 プラスチックの原料や飲食料品用容器の防腐塗料としても用いられるビスフェノールA(BPA)。ヒトの健康に対する悪影響が指摘されており、日本でも曝露防止対策が進められてきた。デンマーク・University of Southern DenmarkのJulie B.Hansen氏らは、BPAの母胎曝露と出生後の児の精神症状との関連を検討。結果を、Environ Health( 2021年3月12日オンライン版 )に報告した。

2歳時と5歳時に感情・問題行動を評価

ビスフェノールA曝露と児の精神症状リスク

※画像はイメージです

 BPAは主としてプラスチック(ポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂など)の原料や、缶入り飲食料品の容器の防腐塗料などに幅広く用いられている。日本でも曝露防止対策が進められてきた一方、微量摂取でも健康への影響が懸念されている。Hansen氏らによると、妊娠中の母親がBPAに曝露することで出生後の児に多動や不注意、不安、攻撃性、自閉性症状などが出現するとの報告があるという。

 そこで同氏らはデンマーク第三の都市オーデンセの児童コホート(Odense Child Cohort)を用いて、BPAの母胎曝露と出生後の児における精神症状との関連を検討。対象は2010~12年にオーデンセ市在住で妊娠16週以内の妊婦2,874例とした。このうち双生児出生、非西欧出身女性などを除いた、児の2歳時における自閉症スペクトラム障害(ASD)スコアが確認できた母児658組、同様に5歳時におけるASDスコアと注意欠陥・多動性障害(ADHD)スコアが確認できた母児427組を解析した。

 BPAの母胎曝露については、妊娠28週時(範囲26~34週)の尿サンプルを浸透圧で補正して確認した。ASDおよびADHDの症状の評価は、米国精神医学会の『精神疾患の分類と診断の手引第5版(DSM-5)』に基づく児の感情・行動評価スケール「Child Behaviour Checklist preschool version(CBCL/11/2-5)」を用いて、2歳時(ASDのみ)と5歳時に実施した。

BPAは低量ながら9割近くで検出

 BPAに関しては、尿サンプルの85.3%から検出されたが、濃度は中央値1.2ng/mL(範囲0.5~2.6ng/mL)と低かった。過体重、非経産婦、学歴が低い女性などで濃度は高かった。

 ASDスコアを基に75パーセンタイル値と90パーセンタイル値を求めた。ASDでは2歳時で75パーセンタイルが3点以上、90パーセンタイルが4点以上、5歳時で順に4点以上、5点以上にそれぞれ相当。ADHDでは5歳時で4点以上、5点以上に相当した。

低量曝露でも児を追跡し、児のBPA測定が重要

 多変量ロジスティック回帰分析により、ASD(2歳時、5歳時)スコアとADHD(5歳時)スコアそれぞれの75パーセンタイル未満に対する75パーセンタイル以上および90パーセンタイル未満に対する90パーセンタイル以上のオッズ比(OR)を求めた。

 その結果、母親の学歴、出産時の年齢、妊娠前のBMIなどで補正したORは、ASDでは2歳時が順に1.08(95%CI 0.94~1.24)、1.10(同0.93~1.31)、5歳時が1.25(同1.03~1.52)、1.20(同0.94~1.53)で、5歳時の75パーセンタイル以上においてのみ有意差が示された(傾向性のP<0.05)。ADHDではORは1.05(95%CI 0.88~1.25)、1.17(同0.93~1.46)と有意差は認められなかった。ただし男女別で見ると、女児ではASDの5歳時においてのみORはそれぞれ3.17(95%CI 1.85~9.28)、5.03(同0.97~26.08)といずれも有意差が確認された(いずれも傾向性のP<0.05)。

 今回の結果から、Hansen氏らは「母胎のBPA曝露は低量であったとしても、児のASD発症リスクを上昇させる可能性が示唆された」と結論。「児を追跡し、BPAの測定を行い、ASD症状が継続しているかを確認することが重要といえる」と付言している。(松浦庸夫)

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