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びんの蓋を開けると痛い…は「母指CM関節症」かも 更年期の女性に多く

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 瓶の蓋を開ける時などに親指(母指)の付け根や手首に痛みを感じたら、変形性関節症の一種「母指CM関節症」かもしれません。更年期の女性に多く、中高年女性の10%以上が発症するとの報告もあります。進行すると、手に力が入らなくなり、日常生活に支障が生じます。痛みを我慢せず、早めに治療しましょう。(東礼奈)

母指CM関節症…軟骨すり減り 力入らず

  日常生活で痛み

 CM(Carpometacarpal)関節は、手のひらの中にある「 手根中手しゅこんちゅうしゅ 関節」を指します。物をつまんだり、握ったりする時に働き、特に親指のCM関節は手に力を入れる際によく使われます。この関節の軟骨がすり減り、動かすと痛むのが母指CM関節症です。

 ドアノブを回す、はさみやホチキスを使うといった動作で、手首に近い親指の付け根に違和感が生じ、徐々に痛みが強くなります。症状が進むと、親指が横に開きにくくなり、骨が関節からずれる亜脱臼を起こして骨が出っ張って見えるようになります。

 患部のエックス線写真を見ると、軟骨がすり減って関節が狭くなり、骨と骨の隙間がなくなっています。すり減った軟骨を補うように周囲の骨が膨らみ、骨のとげが生じている場合もあります。手の使いすぎや加齢が主な原因とされていますが、女性の場合、ホルモンバランスの変化も関係すると考えられています。

 関節の軟骨がすり減ると、関節を包む袋の内側にある滑膜に、はがれた軟骨のかけらが散り、滑膜が腫れや炎症を起こします。女性ホルモン「エストロゲン」は滑膜の腫れを抑えると言われ、エストロゲンが更年期に急激に減って発症する場合があります。男性でも、力仕事や骨折、突き指など以前のけがが原因となり発症することがあります。

  固定して安静に

 治療は安静にすることが一番です。テーピングや固定装具を使い、母指CM関節をなるべく動かさないようにします。すり減った関節は元に戻りませんが、休ませることで炎症が治まり、症状が落ち着きます。痛みが強ければ消炎鎮痛効果のある塗り薬や湿布を使い、飲み薬を服用します。温めて血流を良くする温熱療法もあります。

 こうした処置でも痛みが治まらない時は、患部の関節内に局所麻酔剤とステロイド薬を直接注射し、滑膜の炎症を抑えます。数回をめどに3か月から半年おきに試みます。改善しなければ手術を検討します。手術は2種類あり、生活スタイルに応じて選択します。

 関節固定術は、CM関節の軟骨を削って隙間に自分の腰の腸骨などを入れ、ワイヤやネジで固定します。手に力は入りますが動きは悪くなります。

 関節形成術は、CM関節の下にある 大菱形骨だいりょうけいこつ を切除し、上の指の骨が落ちてこないように手首につながる けん の一部などを使って関節を作り直します。力は入りにくくなりますが、関節の動きが保たれ細かい作業ができます。

 兵庫医科大整形外科講師の高木陽平さんは「大豆を摂取すると体内で作られる成分が、エストロゲンに似た作用をして症状の緩和が期待できるとの報告もあります。治療で改善しなければサプリメントを試すのも一つの方法です」と話しています。

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