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社会「カエる」こと目指す、ラジオ「ケロケロ見聞録」…パーソナリティーも企画も九大生

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 福岡市のラジオ局「ラブエフエム国際放送(LOVE FM)」で、4月から九州大共創学部の学生による番組が始まった。パーソナリティーだけでなく、企画立案も担う。新型コロナウイルスでオンライン授業が中心となり、人と接する機会が限られた時期を過ごした学生たちは、「ラジオで社会とつながりたい」との思いを抱きながらマイクに向かっている。(大久保和哉)

 18日、福岡市・天神のスタジオで行われた収録で、学生たちが約90分にわたり「まちづくり」について意見を交わした。「福岡に愛着を持つ人(の存在)が大事」「人口が減る中で経済を回す仕組みをつくる必要がある」。別に収録した有識者のインタビューと合わせ、5月2日に放送される。4年の清原透子さん(21)は「考えを整理して的確に伝えるのは難しいですね」と語った。

 番組が始まったきっかけは昨年夏、同局の番組審議委員を務める共創学部准教授の 姜益俊カンイツジュン さん(48)の提案だった。コロナ禍で非対面・非接触を強いられ、孤立感を抱える学生を気にかけていた姜さんは、「ラジオなら相手との密を気にする必要はない。自分の考えが広く発信でき、リスナーと双方向のコミュニケーションも体験できる」と考えた。

 その頃、同局も若者による番組制作を模索していた。姜さんが学部生に声をかけたところ、4人が手を挙げた。

 このうちの1人で4年の美間坂さきさん(21)は昨年、英国留学を断念。対面授業の取りやめで大学に通うことが少なくなり、塾講師のアルバイトも中断した。部屋に閉じこもる日が続き、「ストレスが大きかった。誰かと話したい、つながりたいという思いが強くなった」と振り返る。

 そんな中で聞いたのが、ラジオ番組の企画だった。社会課題の解決にあたる人材を育成するという共創学部の1期生でもあり、「いろんな人と意見を交わし、考える場をつくりたい」との思いが募った。

 昨秋から清原さんらと毎週のようにオンライン会議を開き、番組内容を考えたり、いろんなパーソナリティーのトークスキルを学んだりした。同じ学部の友人たちにも参加を呼びかけると、さらに8人ほどが加わった。

 初回放送の4日は「共創」がテーマ。番組のSNSには「同世代なのに、いろんな意見を持っていてすごい」「自分も『共創』について考えてみた」といった反響が寄せられた。こうした意見を基に、SNSでリスナーとやり取りしていく予定だ。美間坂さんは「テーマについて考え、リスナーも交えて議論することで、社会が変わるきっかけになるような番組にしたい」と意気込む。

 番組名は「ケロケロ見聞録」。学生たちが、社会を「カエる」ことを目指すという意味が込められている。同局のコンテンツ部長、宮原康介さん(42)は「学生の新鮮な発想に私たちも刺激を受けている。コロナ禍でいろんな悩みを抱えていたと思うので、そうした体験も番組づくりに生かしてほしい」と話している。

 番組は毎月第1日曜の午後10~11時に放送中。

外出自粛リスナー増加

新型コロナウイルスの影響で不要不急の外出自粛が求められる中、ラジオの存在感が増している。

 日本トレンドリサーチが昨年10月、インターネットで1200人を対象に行ったアンケートでは、ラジオを聴くことについて「よくある」「時々ある」と回答した人は計50・9%だった。コロナ禍前よりラジオを聴く時間が増えた人は14・0%に上った。

 昨春には、スマートフォンなどでラジオが聴けるサービス「radiko(ラジコ)」の利用者が、過去最高の月間900万人に達している。

 ラジオに詳しい中京大の加藤 晴明はるひろ 教授(メディア社会学)は、「パーソナリティーが自分に語りかけてくるラジオは『疑似親密性』が特徴。コロナ禍の中で対面による接触が限られた結果、ラジオを通した『触れ合い』を求める人が増えたのではないか」としている。

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