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スマホ2台にモバイルルーター「いつの間にか買ったことに」と困る85歳独居女性…離れていても見守りを

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 <85才の独居老人です。いつの間にかたくさんの機種を買ったことになっています>

 社会部の LINEライン にこんなメッセージが届きました。

離れていても見守りを

スマホの契約で不要な支払いを続けてきた春江さん(大阪府で)

 投稿主は大阪府在住の春江さん(仮名)。LINEの操作は得意ではなく、短い文章でしたが、困っている様子が伝わってきました。電話してみると、スマホの機種変更を何度もさせられ、多額の支払いをしているようで、「どうしたらいいのでしょうか」と繰り返しました。

 契約時にどんなやり取りがあったのかと聞くと、こう答えました。「ほとんど覚えていないんです」

 自宅を訪ねると、机の上にはスマホが2台置かれていました。パソコンなどをネットに接続するモバイルルーターもありました。

 電話は親族や友人らとの連絡に使うだけで、パソコンは持っていません。毎月口座から引き落とされる額は4万円を超えており、無駄な出費になっていました。

 契約したのは近くの携帯販売代理店で、春江さんはこう説明します。「つい先日も『金額が高い』と思って聞きに行くと、新しいスマホを持たされて帰ってきてしまいました」。なぜそうなったのか、思い出せないと言います。

 10年以上前に夫を亡くして以来、独り暮らし。日常生活に支障はないといいますが、病院に通っており、軽度の認知症のようです。

 春江さんに、過去のクレジットカードの明細書を取り寄せてもらいました。その内容をもとに複数の携帯会社のコールセンターに問い合わせてもらい、そばで契約状況を聞き取りました。

 その結果、約3年間で携帯会社の乗り換えを少なくとも5回繰り返していたことが分かりました。分割払いの機種代に加え、不要なアプリの料金も引き落とされ、通話プランも割高でした。

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 私は春江さんとともに販売代理店を訪ね、「店員の説明に問題があったのではないか」と問いただしました。

 しかし、店側の回答は「本人のサインが残っており、契約は正当」でした。

 高齢者が、不要な高額商品を購入させられるトラブルは後を絶ちません。

 法的には、認知症などで正常な判断能力がない人との契約は無効とされ、返金を求めることもできます。しかし、判断能力を証明するのは難しいと言われます。

 未然に防ぐために重要なのが、家族や周囲の知人による早期発見です。国民生活センターは、口座に不審な出金がないかなどを気にかけるよう呼びかけています。

 春江さんの長女(63)は東京にいます。普段から連絡は取り合っていましたが、春江さんは今回の件は詳しく話していませんでした。心配をかけたくないという気持ちもあったのでしょう。

 私が長女に状況を伝えたところ、春江さんのスマホは解約し、今後は長女が契約することになりました。

 コロナ禍で、遠方の実家に帰省することも簡単ではなくなりました。しかし、そんな状況につけ込んでくる業者もいます。離れていても、見守りと気づきの目は忘れないようにしたいものです。

今回の担当は

 有留貴博(ありとめ・たかひろ) 最近の取材テーマは五輪を目指す選手と、支えてきた家族や友人らの思い。山形県出身。38歳。

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 〒530・8551(住所不要)読売新聞大阪本社社会部「言わせて」係

 iwasete@yomiuri.com

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