「未破裂脳動脈瘤」が不安
左中大脳動脈の未破裂脳動脈 瘤 と診断されました。CT(コンピューター断層撮影法)検査では、こぶは2~3ミリ。経過観察中ですが、「心配なら手術を」と言われました。夫が8ミリのこぶで急死したので不安です。(76歳女性)
場所や形次第 経過観察も
森田明夫 日本医科大学脳神経外科教授(東京都文京区)
未破裂脳動脈瘤は脳内の動脈(通常は直径1~4ミリ)にできた異常な膨らみのことです。成人の3%くらいに見られます。破れなければ問題はないのですが、動脈の壁が弱くなって破れると、くも膜下出血や脳内出血が起きてしまいます。
破れやすさは、こぶの大きさや、できた場所、太さ、形のいびつさなどにより変わります。全体を平均すると、1年に1%くらいの割合で破裂します。ただ、中大脳動脈にできた2~3ミリのこぶの場合、破裂の頻度は極めて低く、年間0・5%以下と考えられます。半年または1年ごとにMRI(磁気共鳴画像)やCTなどで経過をみるのがよいと思います。
治療には、開頭してこぶの根元をクリップで閉鎖する方法と、カテーテルで血管内からコイルなどをこぶの中に詰めて固めてしまう方法があります。治療のタイミングは、大きさや場所によります。8ミリのこぶなら、大きい方なので治療を勧めます。
経過観察は継続されることが望ましいのですが、発見から4、5年たったら間隔を2年に1度程度に空けてもよいと思います。
高血圧や喫煙や大量の飲酒などは、出血のきっかけになると言われています。これらを避けて、定期的に散歩などの運動をするのもよいでしょう。