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医療・健康・介護のコラム
卵巣がボイルドエッグ!? 子宮と卵巣の手術を繰り返した果てに
学生時代から子宮筋腫や卵巣嚢腫
Mさん(40歳)は小学生で初潮を迎えた頃から、重い生理痛に苦しんできました。学生時代から結婚するまで、子宮筋腫と卵巣嚢腫の手術を繰り返し、子宮内膜症の症状にも悩まされていたそうです。20代前半の頃から、「将来、もしかしたら不妊症になるかも……」と医師に言われることが多かったものの、まだ若かったこともあり、その言葉を深く受け止めてはいませんでした。
Mさんは27歳で結婚しましたが、そんな体の状態でしたから、子供についての心配を旦那様に告げたところ、「もし子供ができなかったらそれでもいいよ。二人の時間を楽しみたいし、子供ができるかどうかは、自然に任せよう」と言ってくれたので、妊娠することへのプレッシャーを感じることなく、結婚生活を送っていたそうです。
30代になり、周囲の妊娠・出産に焦り
けれど、Mさんが30歳ごろになると、周りの友人たちは次々に妊娠・出産しはじめました。Mさんよりも後に結婚した友人たちが、1人目だけでなく、2人目まで授かっていくようになると、Mさんも徐々に焦りを感じるようになってしまったそうです。周囲から「子供は?」と聞かれることも一度や二度ではありません。さほど親しくなくても、Mさんが結婚していると知るとまるでお天気の話と同じぐらいの軽さで「お子さんは?」と尋ねてきます。
「不妊」や「不妊治療」という言葉がメディアでこれだけ見られるようになった昨今でも、「結婚は?」(しています)→「お子さんは?」(います)→「何人? 2人目は?」と判で押したようにこの流れで聞かれることが、とてもよくあります。以前、ドイツ人の友人から聞いた話では、欧米ではあまりそうしたプライベートなことは、親しくない間柄では聞くことはないと言われました。日本もそうなったらいいなぁ、と願ったことを思い出します。
Mさんは、表面的には「うちはまだいいかな」と軽く流していましたが、心の中では、簡単に妊娠していく人たちがうらやましくてたまらなかったそうです。「自分とは何の関係もない芸能人の妊娠報道を目にしただけでも嫉妬してしまって、黒い感情を持つ自分を認めたくなかった」と目を伏せます。そして次第に、夫婦間でも子供の話がタブーとなってしまいました。
自己流の妊活始めるも、卵巣嚢腫が再発
「子供が欲しい」という一言が言い出せず、「このまま一生、子供を産まなくて後悔しないだろうか?」とモヤモヤした時期を過ごしていましたが、30代半ばに差しかかった頃、「このままじゃ手遅れになるかも!」と急に気持ちが焦り、旦那様に自分の気持ちを告げて、夫婦で自己流の妊活を始めたそうです。
当時、Mさんは卵巣嚢腫を再発しており、主治医に嚢腫の摘出手術を勧められていました。もし手術をするとなると4度目となる骨盤内手術であったため、できれば手術を避けたかったそうですが、旦那様と相談した結果「子供のためなら」と大学病院の 腹腔 鏡専門医のもとを訪ねました。
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