常喜眞理「女のココロとカラダ講座」
医療・健康・介護のコラム
1週間前からイライラ、始まれば下腹に激痛…月経のつらさ、症状に応じた薬で和らげる
職場で感情が爆発
20歳代後半のWさんは今日から月経が始まり、下腹部痛がつらく、体調が悪いと来院された。これまでは市販の鎮痛薬を内服して痛みをやり過ごしてきたが、昨日は月経が始まる直前で精神的にも不安定になってしまい、仕事中に起こったちょっとしたトラブルで、涙があふれてしまったという。
来院時もその時の様子を説明するだけで感情が高ぶり、涙ぐんでいた。アップダウンする感情そのものもつらいのだが、感情を爆発させることで周囲に与える影響を考えると一層つらいという。
女性検診、欠かさずに
このような状態は女性なら少なからず、思い当たることもあるだろう。Wさんは学生時代から月経による体調不良が多く、月経前の1週間は気分の落ち込みやイライラ、便秘などに悩まされ、月経が始まってから数日はひどい下腹部痛や下痢、頭痛が起こり、そんな状態が月の半分に及ぶこともあるという。社会人になってからは仕事が忙しくなり、簡単に仕事を休むわけにもいかず我慢を重ねていたようだ。
婦人科検診は会社の健診で年1回受けており、子宮内膜症など婦人科系の病気はないということだった。今後も年1回は乳腺と子宮・卵巣の女性検診を続けるようアドバイスした。
月経調節や気持ち沈める薬を
月経前症候群(PMS)の対処方法は人ぞれぞれだ。医療で対応できる方法はいくつかに限られる。イライラする気持ちを沈める 抑肝散加陳皮 や、加味逍遙散 、半夏厚朴湯 といった漢方薬、月経を調節する女性ホルモン薬、イライラをやり過ごす時だけ内服する抗不安薬の処方だ。もちろん単独で治療することも可能だし、組み合わせることもできる。
よく漢方は長く飲まなければ効果が出ないと思われるが、そうではない。ただし薬との相性も分からないので、試すならまずは月経前2週間内服してみよう。ホルモン系の治療薬は1か月単位で性ホルモンに影響を与えるものなので、少なくとも1か月以上試してみる必要がある。他に肩こりや不眠に対応する薬を組み合わせることもできる。
腰とおなかを温めて
いずれも根本治療ではないが、つらい時期を乗り切る助けになる。ただやみくもに続けることはお勧めできないので、使い方ややめるタイミングは医師と相談してほしい。腰や下腹部を温めること、温かい飲み物を飲んで消化管をリラックスさせることも大切だ。つらい症状は1人で抱え込まないで、婦人科やかかりつけの内科で相談してみよう。(常喜眞理 医師)
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