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医療・健康・介護のコラム

『心臓は“切らない手術”で治しなさい』 大塚俊哉著

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心房細動で怖いのは脳梗塞

『心臓は“切らない手術”で治しなさい』 大塚俊哉著

 高齢化に伴って急増している不整脈の一種「心房細動」。国内の患者は100万人以上といわれる。症状の程度は様々だが、怖いのは、心房細動によってできた血栓がはがれて、心臓に近い脳の血管をふさぎ、命にもかかわる脳 梗塞(こうそく) を起こすことだ。心房細動は心臓の病気であると同時に、脳の病気とも言える。

 脳梗塞を予防するため、患者は通常、血液を固まりにくくする抗凝固剤を一生飲み続ける。しかし、非常に出血しやすくなるため、血管がもろい高齢者や透析患者には使いにくく、生活の質(QOL)の低下に悩む患者が多い。本書では、 () の出血が止まらず、悩み続けていた患者の例も紹介されている。

血栓ができる「左心耳」を切除

 そこで著者が開発したのが、体の負担が少ない低侵襲の内視鏡手術「ウルフ-オオツカ法」。心房細動でできる血栓は、大半が「左心耳」と呼ばれる突出した部分にできる。そこを医療用ホチキスで切除し、同時に縫合する。また通常、心臓の壁を外側から焼いて、異常な電気信号が伝わらないようにする外科的アブレーション治療も同時に行う。

 この手術を2008年10月から20年末までに1655件実施。その結果、98%の患者が抗凝固薬の服用から離脱でき、術後4年間の心原性脳梗塞回避率も98%という。手術を受けた患者のQOLがどれほど向上したかは、第5章の事例集を読めばよくわかる。

 本書は、心房細動や「ウルフ-オオツカ法」の話ばかりでなく、前半では心疾患全体について幅広く解説しているので、心臓の病気に関心がある人なら誰でも興味深く読めそうだ。

 (青志社 1540円)

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