介護のキホン
医療・健康・介護のコラム
「足腰が弱く」「物忘れが」…そろそろ介護を、と思ったらどこに相談? <地域包括支援センター>
「足腰が弱くなり、ふだんの生活が不安だ」「物忘れが気になりだした」――。自身や家族に心当たりがあれば、そろそろ介護を考え始めるタイミングかもしれません。
費用面を心配する人もいると思いますが、「介護保険」という公的サービスがあります。原則1割の負担で買い物などをヘルパーに頼めたり、高齢者施設を利用できたりします。利用には、「介護が必要」との認定を自治体から受ける必要があります。
介護について相談できる公的な窓口として、「地域包括支援センター」を覚えておいてください。中学校区に1か所あるイメージで、自治体や社会福祉法人が運営しています。担当のセンターは住所で決まりますので、住んでいる自治体に確認しましょう。
センターでは、介護はもちろん、日常の困りごとなど生活全般の相談に乗ってくれます。介護の経験と知識が豊富な主任ケアマネジャー、保健師、福祉制度に詳しい社会福祉士らが対応してくれます。
月260件ほど相談が寄せられる船橋市南部地域包括支援センター(千葉県)の主任ケアマネジャー潟山大輔さんは「よろず相談所だと思って気軽に訪ねてください」と呼びかけています。
認定までの流れや手続きに必要な書類はセンターで教えてもらえますが、ここで簡単に説明しておきましょう。
手続き書類の提出先は、介護サービスを利用する人が住んでいる自治体です。役所で「介護保険サービスの担当課」を尋ねればわかるはずです。
申請を行うと、身体機能や認知機能の状態を確認するために認定調査員が自宅にやってきます。「着替えに介助は必要か」「トイレに一人で行けるか」など計74項目について1時間ほど聞き取ります。
この後は、役所内で手続きが進みます。まず、訪問調査の結果をコンピューターが分析。別途提出する「主治医の意見書」なども考慮し、医療や福祉の専門家が介護サービスの必要性を審査します。「要介護1~5」や「要支援1~2」と判定されれば、公的介護サービスを利用できます。「自立」と判定された場合は、対象にはなりません。申請から判定が出るまで1か月ほどかかります。
訪問調査の際は、家族が同席することが望ましいそうです。本人の状況を詳しく伝えることが、適切な介護サービス利用につながるためです。
都内で15年にわたり認定調査員をしている青野若子さんは「排せつの失敗や外出先で迷ってしまった経験などは、本人は言いたがりません」と家族の同席の大切さを指摘。「自尊心を傷つけないよう、調査員が帰る時など、本人がいないタイミングでそっと伝えるような配慮も必要です」とアドバイスしています。(板垣茂良)
本人や家族が介護に直面する日はいつ訪れるかわかりません。連載「介護のキホン」では、サービス利用に役立つ知識を紹介していきます。すでに利用中の人も内容の見直しなどに活用してください。
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