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心房細動による不整脈で薬物治療中、アブレーションをした方がいいか

 一昨年、心房細動による不整脈の発作で救急搬送されました。それ以降、エリキュース、ピルイシカイニド塩酸塩カプセル、ビソプロロールフマル酸塩、エナラプリルマレイン酸塩の4種類の薬を服用して、体調はおおむね安定しています。2度不整脈が出ましたが、1時間程度で治まりました。今度いつなるかと毎日不安です。カテーテルアブレーション手術のような根治治療をするべきでしょうか。手術をした場合、根治できる可能性は高いでしょうか。手術にはどんなリスクがあるでしょうか。(55歳男性)

若いので根治を目指すアブレーションも選択肢

木村剛 京都大学循環器内科教授(京都市)

 一般循環器内科医としてお答えいたします。いわゆる発作性心房細動です。心房細動は血栓を作り、それが脳に飛んで脳 梗塞(こうそく) を引き起こすリスクがあります。服薬されている薬剤はエリキュース(血栓予防目的)、ピルシカイニド塩酸塩カプセル(抗不整脈薬で心臓の正常な調律維持目的)、ビソプロロールフマル酸塩(心房細動発作時の心拍数低下目的)、エナラプリルマレイン酸塩(高血圧があるのでしょうか?)で、これまで2回、1時間程度持続する心房細動発作があったということですので、薬物治療で比較的安定していると思います。

 一方、カテーテルアブレーションは、太ももの付け根からカテーテルを入れて、心臓の異常な電気信号を出している部位を焼くことで正常化する治療です。抗不整脈薬を長期に服用するよりも正常な調律が維持される可能性が高いことが示されております。質問者の場合であれば、1回のアブレーションで長期に再発なく経過する成功率は80%程度、再発してしまった時に再度のアブレーションを行うことによる成功率は85~90%程度です。治療に伴う合併症は死亡0.1%未満、心タンポナーデ(心臓の周囲への出血による血圧低下のため緊急で 穿刺(せんし) による血液吸引を必要とする)1.0%、消化管 蠕動(ぜんどう) 障害1~2%程度というのがこの治療のデータです。

頻繁に症状が出たり、強かったりする場合はアブレーションの適応

 近年、心房細動アブレーション治療の技術の進歩はめざましく、特に症状が頻繁に出たり、強かったりする発作性心房細動の患者さんや心房細動が心不全の原因となっていると考えられる方はアブレーションの非常に良い適応であり、アブレーションの効果をよく経験します。一方、高齢者で自覚症状に乏しい心房細動患者さんではアブレーションの臨床的有用性を示す根拠はありません。

 質問者の場合は、55歳とお若いので自覚症状が軽くても、アブレーションを実施せず、薬物治療だけを続けることで、そのまま慢性心房細動に移行するのを座視していて良いかどうか悩ましいところです。アブレーションのリスクと利益を理解されて、どちらを希望するか考えていただければと思います。早ければ早いほどアブレーションの成功率は高いと思いますが、もう少し経過を見て心房細動発作の回数が多くなる、あるいは持続が長くなるということがあればアブレーションを実施するという方針でも悪くはないかと思います。 

  木村 剛(きむら たけし)  京都大学循環器内科教授。1981年同大学医学部卒、91年小倉記念病院循環器科部長、2002年同大循環器内科助教授(現准教授)、09年から現職。

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