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武井明「思春期外来の窓から」

医療・健康・介護のコラム

部屋に血が付いた大量のティッシュが…中1女子「自分はいらない子」と考えた原因

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 両親の夫婦関係は、ひとつ屋根の下で暮らす子どもたちにさまざまな心理的な影響を与えます。家族内の関係のゆがみが、家族の中で一番弱い立場である子どもに表れると考えることもできます。今回は、そのような症例を取り上げます。

お父さんのような男性と結婚しちゃダメ!

部屋に血が付いた大量のティッシュが…中1女子「自分はいらない子」と考えた原因

 玲奈さん(仮名)は、幼稚園時代から、おとなしく、手のかからない子でした。小学5年生の頃から、両親の夫婦げんかが絶えない状態となりました。

 お母さんは玲奈さんに、

 「お父さんは、家族よりも仕事や自分の親戚を大切にする人なのよ。そんなお父さんと結婚して、私は失敗したと思う。玲奈はそんな男性と結婚しちゃダメよ」

 と、お父さんに対する不満を繰り返し話しました。

 そんなお母さんに対して、玲奈さんが自分の悩みごとを相談することはありませんでした。

前腕にたくさんの傷痕が

 中学生になった玲奈さんは、帰宅するとすぐに自室にこもるようになりました。中学1年の10月、掃除のため、お母さんが玲奈さんの部屋に入ったところ、血が付いた大量のティッシュペーパーが散乱していました。帰宅した玲奈さんの前腕を見ると、そこには傷痕がありました。

 翌月、お母さんは、玲奈さんを連れて思春期外来を訪れました。初診時の玲奈さんは、うつむいたままでほとんど話をしてくれません。主治医が「死にたくなることがあるのかなあ」と尋ねると、うなずきました。左の前腕に、自傷による多数の傷痕が認められました。

 玲奈さんは、2週間に1度の割合で、お母さんと一緒に通院することになりました。

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武井 明(たけい・あきら)

 1960年、北海道倶知安町生まれ。旭川医科大学大学院修了。精神科医。市立旭川病院精神神経科診療部長。思春期外来を長年にわたって担当。2009年、日本箱庭療法学会河合隼雄賞受賞。著書に「子どもたちのビミョーな本音」「ビミョーな子どもたち 精神科思春期外来」(いずれも日本評論社)など。

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