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田村専門委員の「まるごと医療」

医療・健康・介護のコラム

家族性大腸腺腫症 低用量アスピリンで再発予防 大腸全摘に代わるがん予防の選択肢に

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試験期間を2年間に延長 有効性、安全性を確認 保険適用を目指す

 研究グループの京都府立医科大学・武藤倫弘教授(分子標的予防医学)は、試験の対象となる患者数が限られる中で、多施設が協力したオールジャパンの体制で行えたことによって、このような結果を得ることが可能になったと強調する。

 予防のための大腸全摘手術を行うことは、QOL(生活の質)の大きな低下を招くため、大腸を温存できる予防法が確立されればその意義は大きい。

 今回の結果を受けて研究グループは、期間を2年間に延長し、症例数も増やした新たな試験を行い、アスピリンによる再発抑制効果が長期間継続できるかどうかや出血などの副作用に対する安全性などについてさらに調べる計画だ。武藤教授は、「最終的には、診療ガイドラインに反映させ、アスピリンが重症化予防の薬として保険適用されることを目指したい」としている。

 今回の試験結果は、何より患者側にとっても大きいものだ。FAPの患者会「ハーモニー・ライン」(大阪府)代表の土井悟さんは、「患者にとって、とてもありがたい。自分のように大腸を全摘している患者も多いけれど、大腸を温存している、これからの若い患者さんにとって、とても期待がもてる結果だと思う」と話している。(田村良彦 読売新聞専門委員)

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田村 良彦(たむら・よしひこ)

 読売新聞東京本社メディア局専門委員。1986年早稲田大学政治経済学部卒、同年読売新聞東京本社入社。97年から編集局医療情報室(現・医療部)で連載「医療ルネサンス」「病院の実力」などを担当。西部本社社会部次長兼編集委員、東京本社編集委員(医療部)などを経て2019年6月から現職。

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