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蒙古斑が孫の足首に、どのような治療があるのか

 孫の足首周辺に 蒙古斑(もうこはん) があります。ネットで調べると、「異所性蒙古斑」ということでレーザー治療が有効とありますが、「治療は早期」、あるいは「10歳ぐらいまで待って」など見解が分かれています。どちらも間違いではないと思いますが、最近の治療の傾向とレーザー治療の具体的な使用機器についてご教示下さい。(63歳 男性)

多くは自然に消えるが、レーザー治療が必要な場合も

河野太郎 東海大学形成外科教授 (神奈川県伊勢原市)

 蒙古斑は生まれた時から、青いあざがお尻周囲にみられるもので、胎児の頃の真皮メラノサイトの残存と考えられています。お尻周囲以外にも蒙古斑がみられることがあり、これを異所性蒙古斑といいます。蒙古斑は黄色人種や黒人に多く、日本でも、新生児の100%近くに見られます。

 1、2歳時に濃くなる場合もありますが、通常、5、6歳までに自然に消失します。異所性蒙古斑は蒙古斑に比べ、消えるのが遅いとされますが、10歳頃までに多くは自然に消えます。ただ、残る場合が4%程度あります。色調の濃いものや境界がはっきりしたものが残存しやすいとされています。

 レーザー治療の中でも、Qスイッチレーザー治療やピコ秒レーザー治療が有効ですが、治療によって、色が抜けすぎて白くなってしまったり、逆に色が濃くなったりする場合があります。色の濃いものであれば、残存する可能性が高いので早期治療の対象になります。全身麻酔が必要となるような広範囲の異所性蒙古斑では、本照射の前に試験的に一部分を治療して有効性や合併症の有無を確かめる場合もあります。

 見た目以外には全く問題ないので、見た目を気にしない場合は治療の必要性はありません。見た目が気になる場合で、治療を何歳から行うかは、あざの状態とご家族の考えで違ってきます。自然に消えることが期待できる場合がほとんどなので、6、7歳くらいまで待機して、消えなかったら照射をするという考えがある一方、皮膚が薄く、照射面積も小さくてすむ幼少期に治療を開始した方が効果も高く、良いとする考えもあります。早期治療は有効ですが、時に見た目が悪くなる場合もあるので、蒙古斑の状態によって、それぞれの利点と欠点をよく医師から聞いてどうするか決めればよいと思います。

 河野 太郎(こうの たろう) 東海大学形成外科教授。日本レーザー医学会理事、日本臨床皮膚科学会理事長。1993年鹿児島大学医学部卒、東京女子医大形成外科を経て、2013年東海大形成外科准教授、21年4月から現職。

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