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ペットと暮らせる特養から 若山三千彦 

医療・健康・介護のコラム

2匹の愛猫を看取った入居者(下)先代が導いた奇跡 「ナッキー2世」登場

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2匹の愛猫を看取った入居者(下)…先代が導いた奇跡 「ナッキー2世」登場

ホームでくつろぐナッキー2世。先代に外見がそっくり

 有料老人ホームに入居したため、17歳の愛猫ナッキーと離れ離れの生活になってしまった山口なつさん(仮名、70歳代後半)は、ペットと暮らせる特別養護老人ホーム「さくらの里山科」で、再び一緒の生活を取り戻します。その半年後、残念ながら高齢のナッキーは死んでしまいますが、この物語には第2幕が待っていました。

 山口さんの息子さんは、ナッキーと暮らすことにより、失語症の山口さんの発語が増え、表情も豊かになったのを実感していたので、「新しい猫を飼わせてほしい」と要望していました。正直なところ、私たちは大変悩みました。ホームには猫の定員もあります。既に入居している方が、新たに猫を飼うことでその定員が埋まってしまうと、自宅で猫を飼っており、行き場がなくなって困っている高齢者を猫と一緒に迎えることができなくなります。

 その時、山口さんが暮らすユニットには、保護猫出身のホームの飼い猫であるタイガとカッチャンがいました。飼い主と同伴入居して、飼い主さんが亡くなった後はホームの飼い猫になっているチョロもいます。入居者の愛猫である雄介もいました。息子さんには、「他の猫と触れ合うのでは、だめですか」と提案してみました。しかし息子さんは、「母と一緒に暮らし、一緒に寝る猫が必要だ」と訴えてきたのです。

 確かに、発語が増え、表情が豊かになるという前向きな変化は、ナッキーといつも一緒にいるから起きたものでした。それは職員もよくわかっていました。悩んだ結果、新たな飼い猫を迎えることが、「山口さんのQOL(生活の質)を上げるためには不可欠だろう」という結論に至りました。

 そこで提携している動物愛護団体「ちばわん」さんに、シニアの保護猫を探してもらうことにしました。そして、ささやかな奇跡が起きたのです。「ちばわん」さんが動物愛護団体のネットワークに呼びかけたところ、ある団体が、なんとナッキーそっくりの14歳の猫を保護していたのです。

 ナッキーそっくりな猫は、「さくらの里山科」で「ナッキー2世」と名付けられました。元々、一人暮らしの高齢者に飼われていましたが、飼い主さんが突然亡くなってしまったため、近所の人から愛護団体にSOSが入りました。しかし、その団体は10歳以上の猫は保護せず、保健所に任せると決めていました。

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若山 三千彦(わかやま・みちひこ)

 社会福祉法人「心の会」理事長、特別養護老人ホーム「さくらの里山科」(神奈川県横須賀市)施設長

 1965年、神奈川県生まれ。横浜国立大教育学部卒。筑波大学大学院修了。世界で初めてクローンマウスを実現した実弟・若山照彦を描いたノンフィクション「リアル・クローン」(2000年、小学館)で第6回小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。学校教員を退職後、社会福祉法人「心の会」創立。2012年に設立した「さくらの里山科」は日本で唯一、ペットの犬や猫と暮らせる特別養護老人ホームとして全国から注目されている。20年6月、著書「看取みといぬ文福ぶんぷく 人の命に寄り添う奇跡のペット物語」(宝島社、1300円税別)が出版された。

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