楢戸ひかる「シニアライフの羅針盤」
医療・健康・介護のコラム
単身者の資金不足は「月2万7090円」 主婦も「ひとり老後」に備えよう!
「実感がわかない人も多いと思いますが、平均寿命より長生きする方が、今は多数派なんです」と言うのは、「幸せな『ひとり老後』を送るためのお金の本」を刊行したファイナンシャルプランナーの竹下さくらさんです。「平均寿命より長生きする人が多数派」とは、どういう意味なのでしょうか?
死亡者数のピークは女性92歳、男性88歳
2020年7月31日に厚生労働省が発表した19年の平均寿命は、女性87.45歳、男性81.41歳でした。平均寿命は、「平均余命=あと何年くらい生きると考えられるか」について「ゼロ歳の人」の数字を見たものです。
このコラムを読んでくださっているあなたは、何歳でしょうか? 仮に、50歳の女性だとしたら、平均余命は38.49年です。多数派のことを“ふつう”と呼ぶのであれば、今、50歳の女性は88.49歳まで生きるのが、“ふつう”なんです。ちなみに、19年の死亡者数のピークは女性が92歳、男性が88歳でした (下図、参照) 。「人生100年時代」なのは知っていましたが、具体的なデータを見ると、「先は、長い!」と、改めて感じます。
国立社会保障・人口問題研究所が、「20年後は約4割の人が一人暮らしで、高齢者の独居率も高まる」と推計していることは以前書きました。 40年の65歳以上の男性の独居率は20.8%、女性24.5%と推測されることから考えると、「ひとり老後」は、思っているより身近な話です。
●2019年の死亡者数のピークは女性92歳、男性88歳
資産管理が夫まかせの人は要注意!
一昔前、独身と既婚者では、あたかも別世界の人のように思われがちでした。確かに、子供が産まれると、アラフィフくらいまでは、交わることのない「平行に走っている別の路線」程度の距離はあるのかもしれません。
ただ、今私自身が50代になってみると、二つの路線が再び合流しつつある感覚があります。92歳まで生きるのが“ふつう”であれば、50代は人生の真ん中あたりです。こと、ライフプランニングという視点であれば、「独身」「既婚」「子供がいる・いない」の違いは、「人生の前半で、お金を何に使ったのか?」という話にすぎません。
シニアライフ世代が、これからフォーカスすべきは「人生の後半のお金の話」ですが、竹下さんから気になることを聞きました。
「これまでたくさんの夫婦に会ってきましたが、最近目立つのは『夫だけが家計管理や資産管理をしている』というご家庭です。とりわけ専業主婦家庭ではわりとよくあるパターンです」(竹下さん)
既婚でも、子供がいたとしても、これだけ人生が長くなると、「配偶者や子供と一緒に暮らしていた時期もあった」という感覚は必要です。つまりは、最後はひとりになる可能性を念頭に置いて、「うちのお金、どうなっているの?」と夫に質問するなど、老後資金に対して関心を持っておきたいものですね。
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