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Dr.イワケンの「感染症のリアル」

医療・健康・介護のコラム

新型コロナ変異株 最大の懸念とは 感染スピード、死亡リスク、ワクチンの効果は

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英国、南アフリカ、ブラジル、カリフォルニア

新型コロナ変異株 最大の懸念とは 感染スピード、死亡リスク、ワクチンの効果は

 以前、変異株の出現は懸念材料であることを、このコラムで申し上げました 。あれから、いろんなことが分かってきました。そして、その懸念はさらに大きなものになっています。

 まず、言葉の誤用について。最近は減りましたが、当初「変異種」と表記していたメディアがとても多かったです。しかし、SARS-CoV-2という新型コロナの原因となるウイルスそのものの「種」が変わるわけではありませんから、これは誤用です。 正しくは「変異株」あるいは「変異ウイルス」です

 で、その変異株の命名がやっかいです。最初に英国南部(イングランド)で見つかった株は、英国では調査中の変異株(variant under investigation, VUI)と呼ばれ、見つかった時間を加味してVUI 202012/01と表記されていました。これが「懸念されている株」(variant of concern, VOC)と名前を変え、現在ではVariant of Concern (VOC)202012/01が正式名称になっています。

 ただ、これに加えてウイルスの遺伝子の系統名もあります。VOC 202012/01にはB.1.1.7という別名もあるのです。また、突然変異の場所を示す数字とともに501Y.V1という名前もつきました。ややこしいですね。 

 次に、南アフリカで見つかった株がありました。これは突然変異の場所を示す数字とともに、501Y.V2と名付けられました。系統的にはB.1.351という名前です。

 次にブラジルです。501Y.V3、またの名(系統的に)をP.1といいます。

 さらにカリフォルニアの変異株。これはカリフォルニアで見つかったのでCAL.20Cと名付けられ、別名をB.1.427そしてB.1.429といいます。

従来型よりも感染性が高い可能性

 この四つの株は、他者への感染性が従来のウイルスより高いことが示唆されています。他にもたくさんの変異株が世界各地で出現していますが、その臨床的、公衆衛生学的意義はまだはっきりしていません。

  英国の株(B.1.1.7)については、死亡リスクも高いことも、疫学研究で示唆されています 。そして、これが現在、日本でもっとも流通している変異株です。

  さらに、南アフリカのB.1.351は、アストラゼネカのコロナ・ワクチンが効きにくい株ではないかとの懸念があります

  また、ブラジルのP.1は、ファイザーやモデルナのワクチンが効きにくい可能性が基礎研究データで示唆されています

  一方、過去に感染した方にファイザーやモデルナのワクチンを1回接種しても、南アフリカのB.1.351株への抗体が高められた、という報告もあります 。このことは、過去の感染者もやはりワクチンを接種したほうがよい可能性を示唆しています。

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岩田健太郎(いわた・けんたろう)

神戸大学教授

1971年島根県生まれ。島根医科大学卒業。内科、感染症、漢方など国内外の専門医資格を持つ。ロンドン大学修士(感染症学)、博士(医学)。沖縄県立中部病院、ニューヨーク市セントルークス・ルーズベルト病院、同市ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院(千葉県)を経て、2008年から現職。一般向け著書に「医学部に行きたいあなた、医学生のあなた、そしてその親が読むべき勉強の方法」(中外医学社)「感染症医が教える性の話」(ちくまプリマー新書)「ワクチンは怖くない」(光文社)「99.9%が誤用の抗生物質」(光文社新書)「食べ物のことはからだに訊け!」(ちくま新書)など。日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパートでもある。

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