子どもの健康を考える「子なび」
医療・健康・介護のコラム
皮膚のトラブル(13)思春期のニキビ、1日2回の洗顔を…早期に抑えて痕になるのを防ぐ
皮膚のトラブルでは、大阪医科大の森脇真一教授(59)に聞きます。(聞き手・東礼奈)
ニキビ(尋常性ざ 瘡 )は13歳頃から額や頬、顎のほか、胸や背中にも現れ、皮脂腺が発達する思春期にかけて悪化します。
皮脂の分泌が盛んになって毛穴が詰まり、皮脂がたまる「 面皰 」の状態になると発症します。放置すれば、毛穴で「アクネ菌」という細菌が増殖。炎症を伴う赤い「 丘疹 」や、 膿 がたまる「 膿疱 」へと進みます。中高生の70%が経験しますが、決して「青春のシンボル」と思ってはいけません。顔に起こるので、性格が内向きになって学校生活に影響することもあります。
治療は近年かなり進歩しています。外用の抗菌薬に加え、毛穴の詰まりを改善する「アダパレン」、アクネ菌の増殖を抑える「過酸化ベンゾイル」という新タイプの塗り薬も使えるようになりました。症状がひどい場合は一時的に抗菌薬を内服します。
ただ、抗菌薬の長期使用は、薬剤耐性菌を増やすことにつながるため、避けるべきです。
治療で大切なのは、炎症を早期から抑えてニキビ痕を防ぐことです。目に見えない小さな面皰などにも対処するため、せっけんで顔の毛穴の汚れや皮脂を1日2回洗い流す習慣を身につけましょう。皮脂の分泌を抑えるビタミンBが豊富な野菜を食べたり、睡眠不足やストレスを解消したりという生活改善にも取り組んでください。
根気よく治療し、症状が良くなっても皮膚科医の指示に従って通院を続けることが、きれいに治すための近道です。
一方、見た目がニキビのようでも、マラセチアというカビによる「毛包炎」や、「酒さ」など他の皮膚病ということもあります。ニキビとは対処法が異なるので、正しい診断が重要です。
【略歴】
森脇真一(もりわき・しんいち)
皮膚科専門医。大阪医科大卒。京都大、浜松医科大などを経て2009年から現職。医学博士。
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