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宮脇敦士「医療ビッグデータから見えてくるもの」

医療・健康・介護のコラム

新型コロナの流行で、子どもの気管支炎や肺炎、胃腸炎での入院数が激減 なぜ?

「公衆衛生学」ってどんなイメージ?

新型コロナの流行で、子どもの気管支炎や肺炎、胃腸炎での入院数が激減 なぜ?

 皆さんはじめまして。このたびヨミドクターに、「医療ビッグデータ」をテーマにコラムを書く機会をいただきました。本題に入る前に、少しだけ自己紹介をさせていただきます。

 私は、東京大学で「公衆衛生」の研究をしています。「公衆衛生学」と言われて、皆さん何をイメージされますか?

 最近であれば、保健所や政府専門家会議の方がやっておられる新型コロナウイルスなどの感染症対策をイメージされる方も多いと思います。

 少し詳しい方なら、アンケートや住民調査をして、糖尿病やがんなどのリスクを上げる原因を見つけるイメージを持たれているかもしれません。

 実のところ、公衆衛生学という学問はかなり雑多なものが入り交じっています。

 感染症対策や生活習慣病の調査もそうですし、重金属や大気汚染などの公害を扱う「環境保健」、職場の健康を扱う「産業保健」、赤ちゃんやお母さんの健康を扱う「母子保健」、生活習慣病やがんの栄養面からの予防を考える「栄養疫学」、社会や経済が健康にどのように影響するかを考える「社会疫学」、など多岐にわたります。

 ですので、「公衆衛生が専門です」といっても、新型コロナウイルスのような感染症対策が専門とは限りません。それぞれがオーバーラップしているところもあります。

 ビッグデータを用いた研究も、公衆衛生学で近年盛んな分野のひとつです。

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宮脇 敦士(みやわき・あつし)

 2013年、東京大学医学部医学科卒業、医師免許取得。せんぽ東京高輪病院・東京大学医学部附属病院で初期研修後、東京大学大学院医学系研究科社会医学専攻にて、医療政策・応用統計を専攻し、19年に博士号取得。東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学教室助教、UCLA医学部客員研究員を経て、23年7月から同大学ヘルスサービスリサーチ講座特任講師。大規模データを用いて良質な医療を皆に届けるにはどうすればよいかということを研究している。

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