新・のぶさんのペイシェント・カフェ 鈴木信行
医療・健康・介護のコラム
生まれつき脊椎に障害がある二分脊椎症 出産後に間もなく手術 歩行など成長に伴い様々な症状
ここは、ある下町にあるという架空のカフェ。オーナーののぶさんのいれるコーヒーの香りに誘われ、今日もすてきなゲストが訪れて、話が弾んでいるようだ。(ゲストとの対話を、上下2回に分けてお届けします)

【今月のゲスト】
宇佐美珠江(うさみ・たまえ)さん
1965年生まれ。天秤(てんびん)座。介護福祉士。3人の子どもの母。二分脊椎症の第3子の出生後すぐ、日本二分脊椎症協会(当時は全国二分脊椎症児者を守る会)に入会した。大阪支部長などを経て、2011年から協会本部会長に就任。
日本二分脊椎症協会 https://sba.jpn.com/
日本二分脊椎症協会の宇佐美珠江さん(上)
春先の太陽と風が気持ちいい。店内は落ち着いている。そこで、私はエプロンを外し、カフェの入り口を掃除することにした。
しばらくすると、車いす姿のお嬢さんが近づいてきて私に声をかけた。「お久しぶりです」。髪には軽くウェーブがかかり、おしゃれな女性だ。誰だか私はすぐに思い出せなかった。
すぐ後を追いかけるように、母親と思われる女性が歩いてきた。
「あ!」
その姿を見てすぐにわかった。宇佐美珠江さんだ。とすると、目の前の車いすの女性は……。
「えっ、知美ちゃん?」
もう十数年ぶりだ。以前会ったのは、彼女が中学生ぐらいの時だったと思う。
いやはや、すてきな女性に成長されたものだ。
知美さんは、私と同じ二分脊椎症という障害を持っている。母親の珠江さんは現在、当事者の親として日本二分脊椎症協会の会長を務めている。
実は、私も十数年前に会長を務めていた。宇佐美さん親子とは当時からの知り合いだ。
1 / 2
※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。
※個人情報は書き込まないでください。