渡辺専門委員の「しあわせの歯科医療」
医療・健康・介護のコラム
コロナ禍で口腔機能が低下、75歳以上の4人に1人、おしゃべりが減って心の健康にも不安……東京・足立区の高齢者5万人調査で判明
外出機会の減少は女性で倍増
また、「昨年と比べて外出の回数が減っていますか」の質問に「はい」の回答は56.5%で前年から26.0ポイントの大幅増加。特に女性は顕著で64.6%と前年から倍増と、外出自粛の影響がこの調査にもはっきり表れました。そうした生活の変化も関係しているのか、「これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなった」という「うつ」に関連した問いには特に75歳以上で22.7%が「はい」と回答し前年から3.6ポイント増えていました。
おしゃべり機会の減少や孤食が心身に影響
区地域包括ケア推進課の千ヶ崎嘉彦課長は「コロナによるステイホームの影響で、身体面では意外なことに口腔機能に影響が表れました。ウォーキングや体操など運動は意識して取り組まれているようです。区でも地域のカラオケ講習会など密になる行事は休止したものも多く、人と会っておしゃべりする機会が減り、孤食になり簡単に食事を済ませてしまうということもあるでしょう。心の健康も気がかりなところです」と受け止めています。
区では、認知や身体、口腔の機能低下が疑われる人に加え、未回答者も含め約2万4000人を対象に訪問指導を行います。口腔機能の低下は栄養摂取の質や量の低下や、高齢者では入院や死亡原因になる 誤嚥 性肺炎につながります。そこで、栄養摂取や運動のアドバイスに加えて、「舌をすばやく突き出す」「口を閉じて舌で左右のほおを押す」「舌で唇の内側を回す」という口の体操も紹介するリーフレットを新たに作成して配布、歯科受診も促すことにしています。(読売新聞 渡辺勝敏)
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