しあわせの歯科医療
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コロナ禍で口腔機能が低下、75歳以上の4人に1人、おしゃべりが減って心の健康にも不安……東京・足立区の高齢者5万人調査で判明

コロナ禍の外出自粛の中で高齢者の心身にどんな変化が起きているのでしょうか。介護予防のため各区市町村では、運動習慣や栄養摂取など厚生労働省が作成した基本チェックリストなどを使って65歳以上の健康な人の介護リスクを把握し、栄養改善や運動などの指導を行っています。東京・足立区が実施している「介護予防チェック」でコロナ禍に実施した今年度の結果をまとめたところ、前年度と比較して大きな変化は、「 口腔 機能の低下」が見られる人が増加する一方で、「運動機能の低下」や「認知機能の低下」は横ばいなどあまり変化が見られませんでした。また、外出や社会活動が減少したことで、うつの指標となる項目の増加も見られました。
65歳以上で介護が不要な5万人弱を毎年調査
同区の介護予防チェックは区内の65歳以上の高齢者約18万人のうち要介護や要支援の認定を受けていない約15万人を対象に毎年約5万人ずつ実施しています。基本チェックリストは「社会生活」「認知機能」「運動」「低栄養」「口腔」「閉じこもり」「認知機能」「うつ」の指標になる25項目ですが、区独自の質問を加えた71項目の質問用紙を対象世帯に郵送して調査。19年の回答率は57%で、コロナ禍の昨年は64%と約2万8000人から回答が得られました。
前年から口腔機能が低下、75歳以上の26.5%
口腔機能に関する項目では、「半年前に比べて固いものが食べにくくなった」「お茶や汁物等でむせることがある」「口の渇きが気になる」のうち2項目以上に該当する人を「口腔機能に低下が見られる」として集計。コロナ禍の昨年11月に実施した調査では、21.5%と前年から1.9ポイント増。特に75歳以上は26.5%と3.3ポイント増えていました。
一方、「階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか」「椅子に座った状態から何もつかまらずに椅子から立ち上がれますか」「15分位続けて歩いていますか」など5項目から2項目以上に該当する「運動機能の低下が見られる」は7.8%で前年から0.1ポイント減少。「周りの人から『いつも同じ事を聞く』などの物忘れがあると言われますか」「今日が何月何日かわからないことがありますか」「自分で電話番号を調べて、電話をかけることをしていますか」の三つのうちひとつでも該当する「認知機能の低下が見られる」は4.6%で横ばいでした。
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