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中川恵一「がんの話をしよう」

医療・健康・介護のコラム

続「福島の話をしよう」 東日本大震災での原発事故の被ばくで住民のがんが増えることはありえない

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日本一安全な「福島産」食材に対する残念な風評被害

続「福島の話をしよう」 東日本大震災での原発事故の被ばくで住民のがんが増えることはありえない

 東京電力福島第一原発事故以降、全村避難が行われた福島県飯舘村で、定期的に支援に携わってきました。

 一般住民の被ばく量は非常に少なく、とりわけ内部被ばくは驚くほど低く抑えられています。原発事故とは無関係の天然の放射性物質による内部被ばくは年間1ミリシーベルト程度ありますが、事故による追加の内部被ばくは、ほぼゼロと言えるのです。

 食品の放射能に関しては、きちんと検査が行われている福島産が日本で一番、「確実に安全」とすら言えます。

 しかし、首都圏の消費者には福島の食材を購入しないという人も少なくなく、大変残念な状況が続いています。海外での風評被害も相変わらずで、中国、韓国、台湾などでは、禁輸措置などが続いています。

CTによる被ばく量以下

 外部被ばくの方は、内部被ばくと違ってゼロとは言えませんが、飯舘村の工場に村外から通勤する会社員の被ばく量を私たちの研究グループが測定したところ、最大で年間3ミリシーベルト以内にとどまっていました。

 「原子放射線の影響に関する国連科学委員会」は3月9日、事故による放射線被ばく量や健康への影響に関する最新の報告書を公表しました。それによると、避難者の事故から1年間の外部被ばく量の平均値は、最大5.5ミリシーベルトでした。CTスキャンによる被ばく量が7ミリシーベルト程度ですから、問題になるレベルではありません。

 広島、長崎の被ばく者を対象とした綿密な調査でも、100ミリシーベルト以下ではがんが増えるというデータはありません。これは、100ミリシーベルトが野菜不足や受動喫煙の発がんリスクに相当するほど低い影響しか与えない一方、喫煙や大量飲酒は2000ミリシーベルトもの全身被ばくに相当するため、100ミリシーベルト以下の被ばく量では、他の要因のなかに埋没して検出できなくなるからです。

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中川 恵一(なかがわ・けいいち)

 東京大学大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。
 1985年、東京大学医学部医学科卒業後、同学部放射線医学教室入局。スイスPaul Sherrer Instituteへ客員研究員として留学後、社会保険中央総合病院(当時)放射線科、東京大学医学部放射線医学教室助手、専任講師、准教授を経て、現職。2003~14年、同医学部附属病院緩和ケア診療部長を兼任。患者・一般向けの啓発活動も行い、福島第一原発の事故後は、飯舘村など福島支援も行っている。

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