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[東日本大震災10年]福島 こころの軌跡<7>機が熟した時に後押し

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 青白い指が古いふすまを開け、ケンさん(46)は拍子抜けするほどふつうに現れた。坊主頭で、不潔ではない。2019年6月。7年に及ぶ引きこもり生活が突然、終わった。

[東日本大震災10年]福島 こころの軌跡<7>機が熟した時に後押し

男性の集いで、流しそうめんを楽しむ利用者たち(2017年7月18日、なごみ提供)

 「相馬広域こころのケアセンターなごみ」(福島県南相馬市)のセンター長、米倉一磨さん(47)は、その瞬間が忘れられない。

 ケンさんは、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の後、電気工事の仕事をなくした。2LDKの自宅で母親と2人暮らし。再就職しないまま、やがて6畳の和室に閉じこもった。南向きの窓をカーテンで閉ざした。認知症の症状がある母親が食事を用意し、妹が時々、食材をまとめ買いして運んでいた。

 転機は、母親が転倒し、入院したことだ。退院後は施設に入所する。母親の年金頼みの家計が破綻し、自立を迫られた。和室を出たケンさんは居間にあぐらをかき、米倉さんら立ち会った4人に向かって、「車がなくて仕事ができない」と言った。機が熟したのだと、米倉さんは感じた。

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