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コロナ交付金で議員にタブレット…市町村「感染対策」、専門家「もらえるものはもらうの感覚」

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コロナ交付金で議員にタブレット…市町村「感染対策」、専門家「もらえるものはもらうの感覚」

 「感染対策として議場などが密となるのを防ぐ上、ペーパーレス化につながる」。埼玉県内の市町村議会で、そんな理由から「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を活用し、議員に1人1台のタブレット端末を購入するなどして貸与する動きが相次いでいる。ただ、議員報酬などが保障されている議員に交付金が使われているとの見方もでき、専門家からは「交付金の趣旨から外れているのではないか」と指摘する声もある。

 読売新聞の調査(3日時点)では、同交付金をあてて議員用のタブレット端末を購入するのは上尾、鴻巣、伊奈の3市町議会。

 上尾市議会(定数30)では、市議と事務局、執行部で計70台を購入するため、新年度当初予算案に約940万円を計上した。同市は一方で、コロナ禍での市財政悪化を理由に、各種団体などへの補助金を前年度比で原則10%削減することにしている。市財政課の担当者は「補助金をカットして端末を購入しているわけではなく、全くの別物だ」と説明する。

 市議会事務局の担当者も「市議が議案などの説明を受ける際、対面でなくてもよい場面もある。オンライン上で面談できれば、コミュニケーション手段の選択肢が増える」と話す。

 伊奈町議会(定数16)は、町議と事務局、執行部で計105台を購入。入札は終えたが、端末が不足しているため導入時期は未定だという。鴻巣市議会(定数26)はすでに導入済みで、2月から市議と事務局職員に貸与している。当面は紙の資料と併用する。両議会は「経済対策など、市民向けのコロナ対策をきめ細かく実施した上で端末を購入している」などとして、適正なものだとの認識を示している。

 鶴ヶ島市議会(定数18)では、総額156万円の端末導入費用の一部、97万円を同交付金でまかなった。レンタルのため本体費用はかからないが、文書共有システムの導入などを行った。

 一方、富士見市議会(定数21)は2017年から端末を貸与しているが、老朽化のため機種変更する費用に同交付金をあてた。担当者は「コロナ禍の中で、議員も対面を避ける必要がある」とした上で「市民への経済・生活支援はすでに幅広く行っている」と説明する。

 同交付金を巡っては、ランドセルや公用車の購入など、全国的に疑問視される使われ方が相次いでいる。埼玉大の松本正生教授(政治学)はタブレット端末について「『他でもやっている。もらえるものはもらっておこう』という感覚で購入しているのではないか。住民のために使ってほしいという声が出るのは当然だ」と話している。

◆新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金=コロナ感染拡大防止や雇用の維持といった自治体の取り組みを支援するための交付金。商店街支援のための商品券発行や、子育て世帯支援に向けた給付金支給など、コロナ対策であれば自由に使うことができる。ただ、全国では、公用車の購入などコロナ対策とは考えにくい支出にあて、批判されたケースもあった。

自主財源で導入も

 埼玉県内では、交付金を使わずに自主財源で議員にタブレット端末を配布している自治体もある。読売新聞の調べでは、川越、熊谷など16市町がすでに自主財源で導入しているか、導入を予定している。

 川越市議会(定数36)は、2014年から自主財源でタブレット端末を導入している。深谷市議会(定数24)は、5年間のリース料などとして570万円を計上し、昨年11月に議員への貸与を始めた。これらの議会では、実際にペーパーレス化が進んでおり、川越市議会では年間で約26万枚に上る用紙代を含め、約322万円の経費を削減したという。

 所沢市議会(定数33、欠員2)は政務活動費で購入することを認め、業務ソフトの費用(年約16万円)のみ議会事務費で計上している。三芳町議会(定数15)も町議が自費で購入。オンラインで常任委員会も開催できるよう、条例を改正した。

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