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医療・健康・介護のコラム
[フリーキャスター 駒村多恵さん](上)要介護5の母を在宅介護中にコロナ感染 行き場なく2人で4日間
NHK総合「あさイチ」サブキャスターや、NHK・BSプレミアム「にっぽん縦断 こころ旅」の朗読などでおなじみの駒村多恵さん。進行性の病気のため、現在は最も重い要介護5の母親を10年以上も在宅介護していますが、昨年10月、自身の新型コロナウイルス感染というまさかの事態に直面しました。こんなとき、どうしたらいのか。駒村さんに振り返っていただきました。(聞き手・藤田勝、撮影・中山博敬)
のどが痛み、念のためPCR検査を受けたら…
――コロナ陽性とわかる前、どんな症状がありましたか。
のどの痛みです。もともと気道が狭く、ストレスがかかったり、忙しくなったりすると、すぐにのどが腫れるので、よく耳鼻科に行っていました。今回も10月31日の土曜日、耳鼻科に行き、「あ~、腫れていますね」ということでした。
いつもなら、それで終わりですが、「今年はちょっと考えた方がいい」とマネジャーに相談し、月曜日に収録がある現場には状況を伝えることにしました。その後、自費でPCR検査を受けたら、即日夜に「陽性」とメールで連絡がありました。念のため受けただけで、陽性になるとは思ってもみなかったので本当に驚きました。
――まず、保健所に連絡ですか。
保健所には医療機関から連絡してくれるというので、まず思ったのは「私の周りは大丈夫だろうか?」ということです。私の過去の行動は変えられないので、「とにかく皆さんが無事であれ」と思い、すぐにあちこちに連絡しました。
一刻も早く、できるだけ正確に自分の行動を伝えることで、ピンポイントで対策を立てられるはずなので、日曜、月曜と電話しっぱなしでした。自分にできることはそれだけなので、のどは痛かったんですけど、そんなことを言っている場合ではないと頑張りましした。
幸い自分の接触者からは感染者は出なかった
――かえって症状が悪化しそうですね。
保健所から1時間半ぐらい聞き取りを受けましたが、それをもとに保健所は私が接触した人たちに電話をして聞き取りをします。すると、その方々から私に「確かこうだったよね」と事実確認の電話が来ます。通話中に次々と留守番電話が入り、それぞれに折り返す。過酷でしたが必死でした。
私に関わった人だけじゃなくて、その家族や近しい人たちも、やっぱりヒヤッとすると思うんです。それ自体、もうストレスを与えているので申し訳なかったです。幸い、私が接触した人からは感染者が出なかったので、ありがたかったです。
――そんな大変なことが、82歳のお母さんの介護中に起きてしまったんですね。
母が、私の一番の濃厚接触者です。これまで2人で長く過ごせるように努力してきたのに、もし感染させたら、高齢なので命を危険にさらしてしまうことになります。今まで何をやってきたんだろうか、という気持ちになりました。
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