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がんのサポーティブケア

医療・健康・介護のコラム

抗がん剤治療の副作用による末梢神経障害 正座をした後のようなしびれが手や足に 症状が長引くことも

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重い副作用から歩行障害を招いた患者の姿に

抹消神経障害マネジメントの手引き 2017年度 日本がんサポーティブケア学会

――平山先生がCIPNのケアに取り組むようになったきっかけ、理由は何でしょうか。

 私の専門の血液がんでは、特に悪性リンパ腫の治療で、しびれの原因となるビンクリスチンを非常によく使います。

 研修医だった頃の時代ですが、悪性リンパ腫は治っても、しびれの症状が悪化して結局歩けなくなってしまった患者さんが複数いらっしゃいました。何とかならないのかと思ったことが、最初のきっかけです。

――重症化しやすい患者さんのタイプはありますか。

 悪性リンパ腫に対するビンクリスチンの投与は、3週間に1回、8コースやることが多く、5か月ぐらいかかります。症状には個人差が大きくて、遺伝的な要因のほかに、糖尿病がある患者さんだと悪化しやすいという面があります。

――症状が重い場合、治療を続けるかどうかの判断を迫られることもありますか。

 しびれをどこまで許容するかは、難しい判断になります。ただ、先ほどのように歩行できなくなるのは、さすがに問題です。一般的には、副作用のレベルでグレード3(日常生活に影響を及ぼす程度)になったら、薬の量を減らすとか、別の薬による治療に変えるとか、患者さんと相談して決めています。

 症状には個人差が大きく、また、患者さんによって、仕事や趣味などへの影響の違いもあります。治療を続けるかどうかは患者さんの生き方にも関わってくる問題ですので、よく相談しながら考えていくことになります。

副作用と治療継続の兼ね合い 主治医とよく相談を

――「手引き」への反響も含め、現状の課題とこれからの取り組みについて教えてください。

 「手引き」は様々な学会で取り上げられたり、看護師の雑誌にも執筆を頼まれたりと、かなり広がってきていると感じています。

 我々の研究グループでは現在、神経障害を判定する目安として、「歩行に障害がある」「字を書きづらい」「ボタンを留めづらい」という三つの兆候を挙げています。こういった目安の考え方が普及するといいと思います。

 これから望むのは、何と言ってもきちんとした予防薬です。デュロキセチンは、一部の患者さんには少しだけ効果がありますが、それほど多くの患者さんに効くわけではありません。だるくなる、眠くなるなどの副作用の問題もあります。副作用が少なくて、効果の高い予防薬が待ち望まれます。

――最後に、患者や家族へのメッセージをお願いします。

 患者さんには、抗がん剤治療を始める前に、薬の種類によってある程度の神経障害が起こることを理解していただき、主治医とよく相談していただきたいと思います。

 症状には個人差が大きく、数か月で治まる人もいれば、1年、2年と症状が続く方もいらっしゃいます。長引くのは大変ですが、たとえ年単位かかっても必ず楽になるというふうな気持ちを持っていただくのが、精神的にも良い状態でいられるのではないかと思います。

平山泰生さん

平山泰生(ひらやま・やすお)氏
 1989年、札幌医科大学医学部卒業、93年、同大学院修了。北海道立札幌北野病院、旭川赤十字病院勤務などを経て、2007年から東札幌病院血液腫瘍科部長・化学療法センター長。日本血液学会代議員(指導医)。日本感染症学会感染症専門医、感染管理医。日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医、日本臨床腫瘍学会指導医。日本がんサポーティブケア学会評議員、神経障害部会長。

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がんのサポーティブケア

 がんやがん治療に伴う副作用が及ぼす痛みやつらさを和らげ、がんと闘う患者を支えるのが「がんのサポーティブケア(支持医療)」です。手術や放射線、薬物療法をはじめとする、がんを治すための医療と車の両輪の関係にあります。この連載では、がんに伴う痩せの悩みや、治療に伴う副作用、痛みや心のケアなど、がんのサポーティブケアが関わるテーマについて月替わりで専門家にインタビューし、研究の最前線や患者・家族らへのアドバイスについて伺います。

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