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大人の健康を考える「大人び」

医療・健康・介護のコラム

脚の痛み(15)股関節の骨折は深刻、寝たきりの危険…高齢者は骨を強くし、転倒も注意を

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  このシリーズでは、関節外科が専門で関西労災病院(兵庫県尼崎市)副院長の津田隆之さんに聞きます。(聞き手・長尾尚実)

脚の痛み(15)骨を強くし 転倒にも注意を

 転倒時の骨折を防ぐために必要なのはまず、骨粗しょう症の治療です。骨密度を上げる「ビスホスホネート」という薬がよく用いられます。腸からのカルシウムの吸収を高めて骨を強くする「活性型ビタミンD」の服用も有効です。体全体の骨を強くするための薬物治療ですが、これだけでは根本的な解決になりません。

 高齢者が骨折しやすい部位は、背骨や股関節のほか、肩の付近や手首の骨です。

 骨粗しょう症が進むと、気づかないうちに背骨を骨折していることがあります。背中が丸くなったり、身長が低くなったりするほか、不用意に物を持ったり、段差でつまずいたりしただけで腰のあたりの骨がつぶれるように折れます。痛みは少なく、「いつの間にか骨折」とも呼ばれます。一方、股関節や肩付近、手首の骨は背骨に比べて丈夫で、転倒や何かにぶつけることがなければ、高齢者でもめったに折れません。

 「高齢者は骨がもろいから骨折しやすい」と単純に思われがちですが、高齢者は転倒しやすくなっていることも骨折につながります。加齢で脚の筋肉量が減り、運動をしない生活習慣が重なれば足腰の衰えは加速します。体のバランスを保つ力も弱くなります。

 骨がもろく、足腰の衰えた高齢者が転倒して股関節付近を骨折すると事態は深刻です。ボルトを入れて骨をつなぐ手術が必要になり、手術前後の安静期間で脚の筋肉量は更に減少します。筋肉量が減ると、リハビリでの回復に時間がかかり、寝たきりとなる人もいます。股関節付近の骨折は、高齢者の生活の質や健康状態を著しく下げてしまう危険があるのです。

津田隆之さん

【略歴】
 津田 隆之(つだ・たかゆき)
 三重県多気町出身。1982年、大阪大医学部卒、90年、同大学院修了。星ヶ丘厚生年金病院(現・JCHO星ヶ丘医療センター)整形外科部長、箕面市立病院医務局次長などを経て、2017年4月から現職。専門は関節外科、骨粗しょう症の疫学。市民向け講演会などで、脚の痛みを起こす病気や治療法、転倒予防について解説している。

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