教えて!ヨミドック
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新型コロナ肺炎 人工呼吸器を着けると寝たきりになるの?…装着避ける治療法も
負担減らす酸素療法も
Q 新型コロナウイルスに感染して重い肺炎になると、人工呼吸器を着けるそうだけど、そのまま寝たきりになってしまうの?
ヨミドック 本当に重症になったら、そういうこともあり得ますね。でも最近は、人工呼吸器をできるだけ避ける治療法を採り入れる医療機関も増えてきました。
Q どういう方法?
ヨ 鼻から一度にたくさんの酸素を流せる医療機器を使います。一般的な酸素マスクだと1分間に10リットルほどが限度ですが、30~60リットルも酸素を送れるんです。それで様子を見て、改善すれば人工呼吸器は着けないですみます。
Q 新しい機械なの?
ヨ 前からあるのですが、コロナの患者に使う病院は多くありませんでした。使うと、エアロゾル(空気中を漂う小さな粒子)が発生してウイルスをふりまき、医療従事者に感染するおそれがあると考えられていたからです。
Q 危なくないのかな?
ヨ もちろん対策をしっかりして使います。うまくいっている病院では、ウイルスを含んだ空気が外へ出ないよう、室内の気圧を低くして気密性を高めた個室で、患者もマスクを着けて使っています。医療従事者は防護具を着けます。
Q 人工呼吸器を避けて寝たきりにしないのはいいけど、ほかにメリットは?
ヨ 患者の負担が減ります。この機器なら意識があるから会話できますし、コロナ肺炎を治すには腹ばいの姿勢をとるのがよいとされていますが、それも自分で出来るので医療従事者の手間もなくなります。
人工呼吸器が原因で起きる肺炎もなく、集中治療室(ICU)の滞在時間も短くなるので、重症者用病床の不足を防ぐ意味もあります。
Q それはいいね。
ヨ 医療現場では、終末期の医療として、人工呼吸器を望まない高齢者が、この方法を選ぶこともあります。高齢者の場合、人工呼吸器を着けても回復しない例は多いのですが、意識がないと家族とオンライン通話もできませんからね。
新型コロナに特効薬はまだありませんが、対応の選択肢は少しずつ増えています。
(高梨ゆき子、取材協力=放生雅章・国立国際医療研究センター病院呼吸器内科長、小倉高志・神奈川県立循環器呼吸器病センター副院長)
ヨミドックは読売新聞の医療サイト・ヨミドクターのお医者さんキャラクターです。
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