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ペットと暮らせる特養から 若山三千彦 

医療・健康・介護のコラム

残されたペットたち…高齢者がペットを飼う現実を見つめて

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飼い主だった一人暮らしの高齢者が、突然亡くなって

残されたペットたち…高齢者がペットを飼う現実を見つめて

入居者と遊ぶ老犬ルイ。人懐っこく、元気で明るい性格

 先日のコラムで、一人暮らしの高齢の飼い主が亡くなって残された、愛犬のジローについてお話ししました。実は、うちのホームには、他にもジローのような境遇の犬と猫がいます。

 チワワとキャバリアのミックス犬(雑種犬)と思われるルイ。ジローとほぼ同じ経緯で、私が経営する特別養護老人ホーム「さくらの里山科」にやってきました。飼い主だった一人暮らしの高齢者が、突然亡くなってしまったのです。

 その方を担当していたケアマネジャー(介護支援専門員)は、私が経営する別の介護施設、在宅支援施設「さくらの里」のスタッフでした。そのケアマネジャーは、近所の方々と交代しながら1週間ほどルイの世話をしていましたが、「このままではどうしようもない」と私の所に相談に来たのです。ジローの時と同様に、その時は「さくらの里山科」の犬の入居枠に空きがありましたので、急きょ受け入れることにしました。

 飼い主さんが認知症だったため、正確な年齢がわからないことも、ジローのケースと同じです。ルイの場合は、犬種すらもわかりませんでした。チワワとキャバリアのミックス犬というのも、うちのスタッフたちが、ルイの独特の愛らしい 容貌(ようぼう) から推測したことです。人懐っこく、元気で明るい性格のルイは、入居者からも職員からも愛され、かわいがられています。今年、推定15歳。小型犬の平均寿命14歳を超えた老犬ですが、まだ元気に走り回っています。

 ジローとルイは、私の法人施設に勤務するケアマネジャーが担当していた高齢者の愛犬だったということで、例外的に直接引き取りましたが、同じような境遇の猫4匹は、動物愛護団体からの引き取りです。

 「さくらの里山科」が提携している動物愛護団体「ちばわん」さんは、保健所(動物愛護センター)にいる犬、猫を引き取り、新たな飼い主を探す活動をしています。直接、犬や猫を保護する活動はしていません。しかし、他の愛護団体の手伝いをすることがあります。猫のクロとアマの姉弟は、「ちばわん」さんが他の団体の手伝いをする過程で、うちのホームにやってきました。

 ある時、「ちばわん」さんに他の愛護団体から、「多頭飼育崩壊」に関するSOSが入ったそうです。多数のペットを飼育できずに放置する「多頭飼育崩壊」は近年、社会問題となっています。多数の犬や猫を飼っていて、劣悪な飼育環境になってしまい、そして飼い主の生活も破綻してしまうことです。この時は、多数の猫を飼っていた高齢者が突然亡くなったことにより見つかりました。残念ながら、こうした場合、公的な支援がなされることは少ないそうです。この時も、民間のボランティアである動物愛護団体が、残された猫たちを助けるために、必死に頑張っていました。そのSOSを受けた「ちばわん」さんが、うちのホームで2匹だけでも引き取ってもらえないかと相談してきたのです。

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若山 三千彦(わかやま・みちひこ)

 社会福祉法人「心の会」理事長、特別養護老人ホーム「さくらの里山科」(神奈川県横須賀市)施設長

 1965年、神奈川県生まれ。横浜国立大教育学部卒。筑波大学大学院修了。世界で初めてクローンマウスを実現した実弟・若山照彦を描いたノンフィクション「リアル・クローン」(2000年、小学館)で第6回小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。学校教員を退職後、社会福祉法人「心の会」創立。2012年に設立した「さくらの里山科」は日本で唯一、ペットの犬や猫と暮らせる特別養護老人ホームとして全国から注目されている。20年6月、著書「看取みといぬ文福ぶんぷく 人の命に寄り添う奇跡のペット物語」(宝島社、1300円税別)が出版された。

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1件 のコメント

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私も諦めました

みるく

還暦を機に、もう一度、家族のわんにゃんと一緒の生活をスタートしようと思い、それに役に立ちたい気持ちもあって保護団体に連絡を取ったところ、この記事...

還暦を機に、もう一度、家族のわんにゃんと一緒の生活をスタートしようと思い、それに役に立ちたい気持ちもあって保護団体に連絡を取ったところ、この記事の現実を教えられ、諦めました。正直、その時はショックでした。でも、理性では納得できるのですが、感情はパートナーを欲するのをやめないんですよね…。触れ合いを求めることは、人間のさがなんじゃないでしょうか。認知が怪しくなって、この本能的な性のままに行動してしまい、飼ってしまう高齢者がいても不思議ではない気がします。肯定はできませんが。難しいですね。私は、将来はこの「さくらの里」に入れてもらおうと自分を慰めています。また、人間が人間らしく、その人らしい人生を全うするためにも、「さくらの里」のような施設が当たり前の社会になってほしいものですね。

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