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医療・健康・介護のコラム

「私だけが妊娠できない…」と自信喪失 周りは次々妊娠、2人目も

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妊娠を期待しては何度も夢破れ、心が疲弊

「私だけが妊娠できない…」と自信喪失 周りは次々妊娠、2人目も

 不妊治療を繰り返していると、どんどん自分に自信が持てなくなります。治療のたびに、妊娠できないつらさが押し寄せ、「妊娠できない自分がだめだ。私が不規則な生活をしてしまったから。仕事のストレスが大きかったから。健康的な食事を作れずについインスタントですませてしまったから……」などと、自分を責めてしまうようになり、自己肯定感が持てなくなってしまいます。

 そして、治療の結果が出る時期になると、期待してそれがかなわなかった時のショックを少しでも減らそうと、「きっと今回もダメに決まっている」と、自分に言い聞かせるのです。けれども当然ながら、心の奥では妊娠を期待しています。その都度、その夢に破れることは、何回繰り返しても慣れることがない、とてもつらいことなのです。おそらくYさんも、そうしたことを繰り返し、心が疲れてきてしまっているのでしょう。

「相談なんて、考えたこともなかった」

 Yさんが特につらいのは、周囲の友人たちが次々に妊娠していったことだといいます。

 「会社でも後輩が2人も妊娠したし、友人たちも2人目っていう子もいるし、SNSで一緒に妊活がんばっていた人たちも、次々に妊娠していってあっち(妊婦)の世界に行っちゃったし、もう私だけって感じで……。なんで私だけが妊娠できないんだろう。これ以上やって意味あるのかなって。もう妊娠できる気がしないのに、治療なんてしても無駄じゃないのかなって」と、また声が小さくなっていきます。

 「これまでに、そういうことを誰かに話したことはありますか? 例えばカウンセリングとか」と聞いてみたところ、一度もないとのこと。「相談だなんて、考えたこともなかった」と言います。

 このような時には、カウンセリングも有効なこと、カウンセリングはもっと気軽に受けてみていいものだということ、今、各地方自治体には不妊・不育専門の相談窓口があることをお伝えしました。

メンタルケアの利用を 全国に窓口

 Yさんのように、「相談しようと思わなかった」方は少なくありません。日本では、メンタルケアが本当に少ないことは常日頃から課題であると感じています。もしも「最近ちょっと元気がなくなってるかな」と自分で感じることがあったら、今は「 全国の不妊専門相談センター 」がありますので、ぜひお近くの窓口を調べてみて下さい。また、 NPO法人Fineにもピア・カウンセリング(同じような境遇にある人同士のカウンセリング)があります 。今はすべての活動をオンラインで実施していますので、居住地に関わらず利用いただくことができます。良かったら、ご覧になってください。

 「心身」というように、体だけではなく心の健康もとても大切なことです。そして、心を健康に保つために、誰かの力を借りることは、男女を問わず、決して恥ずかしいことでも特殊なことでもありません。利用できるものはどんどん利用して、元気な心を保っていただけますよう、応援しています。(松本亜樹子 NPO法人Fine=ファイン=理事長)

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松本亜樹子(まつもと あきこ)

NPO法人Fine理事長/国際コーチ連盟認定プロフェッショナルサーティファイドコーチ

 長崎市生まれ。不妊経験をきっかけとしてNPO法人Fine(~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~)を立ち上げ、不妊の環境向上等の自助活動を行なっている。自身は法人の事業に従事しながら、人材育成トレーナー(米国Gallup社認定ストレングス・コーチ、アンガーマネジメントコンサルタント等)、研修講師として活動している。著書に『不妊治療のやめどき』(WAVE出版)など。
Official site:http://coacham.biz/

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