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免疫が自らの組織を攻撃し、全身に炎症…「全身性エリテマトーデス」 新薬で治療の選択肢広がる

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 若い女性に発症しやすい難病に「全身性エリテマトーデス(SLE)」があります。全身に炎症が生じ、腎臓など様々な臓器に障害を引き起こします。近年、新しい薬が次々と登場しています。2019年には国内初の診療ガイドライン(指針)もできました。(西原和紀)

全身性エリテマトーデス…「免疫が攻撃」 診療に指針

  紅斑など症状多様

 全身性エリテマトーデスは、細菌やウイルスなどから体を守る免疫が、自分の細胞や組織を誤って攻撃してしまう自己免疫疾患です。 膠原こうげん 病の代表的な病気で、難病にも指定されています。英語では「Systemic(全身の)Lupus Erythematosus(紅斑性 狼瘡ろうそう )」といい、その頭文字を取って「SLE」と呼ばれます。皮膚にオオカミにかまれた痕のような赤い紅斑ができやすいため名付けられました。

 国内の患者は6万~10万人程度とされ、9割が女性です。20~40歳代での発症が目立ちます。原因ははっきりしませんが、遺伝的な要因や、紫外線や感染症、女性ホルモンなどの関与が指摘されています。

 症状は、人によって異なります。発熱やだるさ、食欲不振などのほか、両頬がチョウのような形に赤くなる「 蝶形ちょうけい 紅斑」という特有の症状が表れることがあります。寒さで血流が悪くなり、手や足の指が白くなる「レイノー現象」、紫外線を浴びることで皮膚に発疹などができる「光線過敏症」も見られます。

 臓器障害では、患者の60~70%程度に「ループス腎炎」が起きます。進行すると、人工透析が必要になることもあります。時に心膜炎や胸膜炎を発症します。

 初期症状は発熱や関節痛などが多く、感染症を疑って抗菌薬を服用しても熱が下がらない、蝶形紅斑が出ているといった場合はSLEが疑われます。

  新薬次々 使い分け

 様々な症状があるため、診断が遅れる例も少なくありません。日本リウマチ学会などは19年に診療ガイドラインを策定しました。適切な診断や、病態に応じて治療薬を使い分ける方法が示され、早期の治療につながることが期待されます。

 SLEは、病状が良くなったり、悪くなったりを繰り返します。再び悪化することを防ぐために、薬でコントロールします。

 炎症を抑えるステロイド薬が治療の基本です。重症度によって服用する量を調節し、必要に応じて免疫抑制薬などを併用します。

 15年以降、新しい薬が公的医療保険の適用となり、治療の選択肢が増えました。抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」は皮膚・関節炎症状などの改善が期待でき、生物学的製剤「ベリムマブ」は中等度以上の患者が対象となります。

 京都府立医大病院教授の川人豊さんは、「自分に合った副作用の少ない薬を使い、ステロイド薬を減らせるようにしましょう。専門医と話し合い、新しい薬にも挑戦してみてほしい」と話しています。

 日常生活では、〈1〉強い紫外線を避ける〈2〉風邪などの感染症に気を付ける〈3〉ストレスをためない〈4〉規則正しい生活をする――などの点を心がけましょう。

 妊娠・出産は、病状が安定しているなどの条件があります。母子の命に関わることもあるため、主治医とよく相談してください。

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