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医療ルネサンス

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詠んで生きる・がん<5>残された歌 家族を結ぶ

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 歌人の 河野かわの裕子ゆうこ さんが乳がんで亡くなった2010年夏、自宅の病室で夫の永田和宏さん(73)は、ティッシュペーパーの箱に薄く文字が書かれていることに気づいた。見れば、薬袋や封筒などベッド周辺の様々な紙類に書き付けてある。河野さんが残した歌だった。

2008年に長男の淳さんが撮影した河野裕子さん

2008年に長男の淳さんが撮影した河野裕子さん

自宅で思い出を語る永田和宏さん(京都市で)

自宅で思い出を語る永田和宏さん(京都市で)

 筆圧が弱かったり、薄かったりして読みにくいものも多い。長男の淳さん(47)、長女の こう さん(45)と一緒に判読した。全員が歌人という家族ならではのことだ。

 文字を追い、確かめながら、亡くなった人の思い出を語り合う。「これが河野が望んでいたことだ」と永田さんは感じた。「そのために、我々に向けて歌を作って、あちこちに残しておいたのではないだろうか。必ず拾い集めてくれると信じていたのだとも思う」

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