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20~30代で増加の子宮頸がん、ワクチンで予防できることを知ってほしい

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20~30代で増加の子宮頸がん、ワクチンで予防できることを知ってほしい

 「すみません、HPVワクチンのお知らせが届いたんですけど、接種できますか?」。昨年10月以降、私の勤務している小児科の外来にもこのような問い合わせの電話がパラパラとかかってくるようになりました。

 HPVとはヒトパピローマウイルスのこと。3月4日は国際HPV啓発デーです。このウイルスが原因の感染症(子宮 (けい) がんなど)を防ぐのがHPVワクチンです。昨年10月に厚生労働省は各自治体に向け、HPVワクチンの対象者やその保護者に対し、定期接種に関する情報を周知するよう通知を出しました。私が住んでいる自治体でも厚労省のリーフレットが保護者に郵送されました。問い合わせが寄せられるようになったのはその後からです。問い合わせは市の窓口でも多かったようで、昨年末に市の担当者と会った際、HPVワクチンの問い合わせが過去7年間わずか数件だったのが、通知が出てからの2週間で50件を超えたとのことでした。

子宮頸がんは年間1万人がかかり2900人が死亡

 HPVワクチンは2013年に定期接種となったものの、厚生労働省の接種勧奨一時差し控えとなり、過去7年間接種率は大きく落ち込みました。ところが最近、このHPV感染症及びワクチンを取り巻く状況が大きく変わり始めています。自治体からのお知らせもそのひとつです。

 HPV感染症のなかでもっとも関連が深く、患者さんが多いのは子宮頸がんです。子宮頸がんの原因の95%はHPV感染によるものとされています。日本では年間約1万人の女性がかかり、約2900人が死亡しています(1)。これは、1日当たり約8名が子宮頸がんで命を落としていることになります。亡くならないまでも、治療のために多くの女性が子宮摘出を余儀なくされています。最近は20~30代の子宮頸がんが増えており、このため妊娠や出産ができなくなる方も少なくありません。新生児の管理にも関わる私たち小児科医にとっても看過できない問題です。

ワクチンの接種率は70%から1%未満に激減

 この子宮頸がんを含むHPV感染症を予防するのがHPVワクチンです。このワクチンはがんを予防できるワクチンという意味で画期的と言えます。日本では2013年4月に小学6年生~高校1年生を対象に定期接種となりました。しかしワクチン接種後の症状への懸念から同年6月に接種勧奨が一時差し控えとなりました。その後、現在も接種勧奨再開に向けた審議が続いていますが、当初70%あった接種率は現在1%未満に激減しています。そのような状況が既に7年も続いているのです。

ワクチンについてよく知らないから打っていない

 実は「HPVワクチンを打ってない」方の多くが、「HPVワクチンの効果も副反応もよく知らない」ことが分かっています。

 厚生労働省のアンケート調査報告(2)によると、「HPVワクチンの意義・効果」について61%が「よく知らない」と答え、「知っている」と答えたのは17%でした。同様に「HPVワクチン接種後に起こり得る症状」についても69%が「よく知らない」と答え、「知っている」と答えたのは10%にすぎませんでした。

 つまり正確な知識を得た上で接種をやめる判断をしているのではなく、「よく知らない」まま接種をしていないのです。自分の体に打つ予防接種です。よく知らなければ打とうと思えないのは当然です。「まずは正確な知識を知る」ことが第一歩だと思います。

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坂本昌彦(さかもと・まさひこ)

 佐久総合病院佐久医療センター・小児科医長
 2004年名古屋大学医学部卒。愛知県や福島県で勤務した後、12年、タイ・マヒドン大学で熱帯医学研修。13年、ネパールの病院で小児科医として勤務。14年より現職。専門は小児救急、国際保健(渡航医学)。日本小児科学会、日本小児救急医学会、日本国際保健医療学会、日本国際小児保健学会に所属。日本小児科学会では小児救急委員、健やか親子21委員。小児科学会専門医、熱帯医学ディプロマ。現在は、保護者の啓発と救急外来の負担軽減を目的とした「教えて!ドクター」プロジェクトの責任者を務めている(同プロジェクトは18年度、キッズデザイン協議会会長賞、グッドデザイン賞を受賞)。

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