楢戸ひかる「シニアライフの羅針盤」
「人生100年時代」と言われるようになりました。この長い後半生、「今まで通り」のやり方では乗り切れないかもしれません。やがて来る「シニアライフ」を実りあるものにするためには、今、どんな備えをしておけばいいのか? お金のこと、そしてお金以外のこと……マネーライターの楢戸ひかるさんと一緒に考えていきましょう。
介護・シニア
式を行わない「直葬」が増加 一周忌、三回忌法要は激減…コロナ禍で「葬儀」が変わった
「一人では死ねない」という現実
ところで、「お葬式代」が健康保険から出るのはご存じですか? 亡くなった方が加入していた健康保険に、お葬式を行った方が申請をします。たとえば、私の住む自治体のHPでは、「国民健康保険の被保険者が死亡したとき、その葬祭を行った方に葬祭費として5万円を支給します」と、ありました。
当たり前のことながら、葬祭費の請求手続きは、亡くなった本人にはできません。 死後は同じ共同墓に入る「墓友」の取材 で、一人では死ねないことを痛感したのを思い出し、「私の葬祭費の請求手続きは、誰がするのだろう?」という思いが、ふとよぎりました。こんなことを考えるのは、縁起でもないですか? 私は、そうは思いません。
メメント・モリ
メメント・モリとは、ラテン語で「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」といった意味の言葉だそうです。座右の銘にする人もいるので、目にしたことがある人もいるのではないでしょうか? 目の前の日常に追われて、「そんなことを考える余裕がない」というのが、多くの人の現実だと思います。私も同じです。それでも、葉加瀬太郎さんが作曲した「レクイエム」という曲を、小さなお葬式のHPで聞いたときは、メメント・モリが身近になった気がしました。コロナ禍では、お葬式事情だけでなく、それぞれの人の死生観にも変化が生じているのかもしれません。(楢戸ひかる マネーライター)
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