後閑愛実&ゆき味「看取りのチカラ」
大切な人を看取(みと)るとき、人は何を思い、看取りは、残された人々にどんなチカラを与えてくれるのか。後悔しない看取りについて、現役の病院看護師、後閑愛実さんが、ゆき味さん作画の漫画と文章でつづります。
医療・健康・介護のコラム
「看取りのチカラ」第12話 自ら命を絶った入院中の患者 残された者の思いとは
コロナ禍で自殺者が増えている世の中で 困ったときには相談を
2020年の自殺者数は2万919人(速報値)。コロナ禍の影響か、女性や子どもが大幅に増えたのをはじめ、全体でも11年ぶりに前年を上回りました。実際には、自殺者数の10倍はギリギリ死ななかったけど、死のうと考えた人がいると言われています。私も病院で、自殺未遂で運ばれてくる人や、助かったけど後遺症で苦しんでいる人たちに何度も会ったことがあります。自殺を図った場合の医療には、保険が原則ききませんので(精神疾患による場合を除く)、家族には自費の請求がいきます。助かったけど家族に縁を切られ、行き場がなく寝たきりで何年も病院にいた人もいました。
見通しの立たないコロナ禍で、特に子どもと女性で自らの命を絶つ人が急増しています。もし、あなたがしんどくて悩んでいたら、相談できる場所があります。相談方法もいろいろあるので、あなたが相談しやすい窓口でお話ししてみてください。
https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/soudan/
心のダメージが蓄積していくと、心理的に追い詰められ、自ら命を絶つしか選択肢がないような気持ちになることがあります(「希死念慮(きしねんりょ)」といいます)。本人ですら自分の異変に気づけないこともあるため、周りがその異変に気づくことが大事であると言われています。でも、止めようと思っても、必ず止めることができるわけではありません。
今、この瞬間にも自ら命を絶っている人がいて、その何倍もの周りの人たちが傷ついています。「あの時自分が気づかなかったから」とか、「気づいていたけど何もできなかった」などと、傷ついている人に少しでも寄り添うことができたらとの思いから、この記事を書いています。あなたも困っていたら、助けを求めましょう。
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