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子どもと一緒の在宅ワークは高ストレス!? 乗り切るコツは

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子どもにもオンオフの切り替えがある

 さて、私たちの会社で行っている子連れ出勤では、こんなことがありました。あるイベントで私がスピーチをする際、一緒に登壇しようと子連れのスタッフが同行したのですが、イベントは思った以上に時間がかかってしまいました。ところが、飽きてぐずってしまうかも、という心配をよそに、結局、その子は、皆の前で紹介されるまでニコニコと待っていました。スピーチ終了後、「時間が長くなっちゃってごめんね。それにしてもおとなしい子だね」と母親に言うと、「いえ、家ではこんなにおとなしくないんですよ!」と彼女は答えたのです。彼女はショップで働くスタッフでしたが、その子は、彼女の勤務中も静か。でも、家ではそうではないと言います。このことを、発達心理の先生に話すと、「そりゃそうですよ。赤ちゃんにだって社会性はありますよ」という答えが返ってきました。なるほど、大人が場の空気を読むように、赤ちゃんは赤ちゃんなりに、子どもは子どもなりに、家と仕事場、家と外を、区別してふるまっているというわけです。

「いつもと同じお母さんなのにどうして」

 確かに、家でお父さん、お母さんといる時は、子どもは親に甘えるでしょうし、遊んでほしいと思うでしょう。大人ですら、家で仕事をするには、オンとオフの切り替えが難しく、集中できないのです。家でお父さん、お母さんが仕事をしているといっても、子どもや赤ちゃんが、オンとオフを区別できるはずもありません。「どうして今日のお父さんは、自分と遊んでくれないんだろう」「お母さんは、抱っこしてくれないんだろう」と、ぐずってしまっても仕方がないことです。

 実は、母乳とミルクでも同じことが言われています。お母さんが赤ちゃんを預けるために、哺乳瓶に慣れるよう練習をしても、なかなか飲んでくれないことがあります。これは、普段、母乳を飲んでいる赤ちゃんにとっては「いつもと同じお母さんなのに、どうして哺乳瓶なの?」と思ってしまうからなのだそうです。だから哺乳瓶での授乳は、お母さん以外が担当した方がスムーズなのだとか。

 ということは、子どもがいる自宅で仕事をするときには、「いつもとは違う」という切り替えができるよう工夫すればいいのではないでしょうか。場所を変えるのは一つの方法ですから、会社でなくとも、子連れで行けるコワーキングスペースやカフェなどを利用したり、普段と違う仕事部屋を設けたりするのもいいかもしれません。親が仕事をするときは、専用のマットを広げ、子どもはその上で遊ぶのをルールにしている、という方もいらっしゃいました。一種の儀式ですね。最近、お会いした子育て中の弁護士さんは、「家で仕事する時は、子どもにスーツ姿を見せるのもいいかもしれませんね」と話していました。

罪悪感やジレンマを抱かないで

 自宅での子連れ勤務は、子どもにとって必要なものはそろっているし、慣れた環境でもあります。だから、簡単だろう、できるはず、と思う人は多いでしょう。ところが、実際は切り替えがうまくいかず、子どもが遊んでもらいたがるたびに、「後でね」と言わなければならなかったり、子どもに対していらいらしてしまったり。そして、そのために罪悪感やジレンマを抱いてしまう方が多いのでは、と、私は心配しています。

 「子どもと一緒の在宅ワークは難しい」ということを知ってもらい、誰かにヘルプを頼んだり、先ほど挙げたコツを試したりしてみてはいかがでしょうか。これまでの会社勤めでは体験することがなかった、テレワークや子連れワーク。せっかくなら、これを本当に良い体験とできればいいですね。私も情報を集めてお伝えしていきたいと思います。

光畑 由佳(みつはた・ゆか)

光畑 由佳(みつはた・ゆか)
 モーハウス/子連れスタイル推進協会代表。
 1997年、自らの体験をきっかけに、授乳服を企画・販売する「モーハウス」を創業し、産後の新しいライフスタイルとして「子連れ出勤」を20年以上実践、研究している。著書に「働くママが日本を救う!」(毎日コミュニケーションズ)。筑波大学大学院非常勤講師、東京大学大学院客員研究員。

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