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長期の屋外労働で乳がんリスクが低下! デンマーク・大規模症例対照研究

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 デンマーク・Danish Cancer Society Research CenterのJulie Elbaek Pedersen氏らは、同国の70歳未満の女性23万人を対象に症例対照研究を実施、職業的太陽紫外線(UVR)への長期曝露が、50歳以上での乳がん発症リスクを10%前後低下させる可能性があることをOccup Environ Med( 2021年2月2日オンライン版 )に発表した。近い将来、特に屋内で働く女性に対し、太陽の下で定期的に短時間過ごすことの有用性について助言できるようになるだろうとしている。(関連記事「 世界の乳がんは増加傾向 」「 運動はがんの予防薬だ 」)。

職歴に基づくUVR曝露の影響を検討

長期の屋外労働で乳がんリスクが低下! デンマーク・大規模症例対照研究

(C)Adobe Stock ※画像はイメージです

 日光浴は、適切な血中ビタミンD値を維持するために重要である。一方、皮膚がんなどUVRの有害な影響への懸念や、コンピュータ使用の増加により屋内で過ごす時間が増えている。こうした最近の太陽光回避の行動パターンが、世界的なビタミンD不足に寄与するとの仮説が立てられ、乳がん罹患率上昇に関連している可能性が指摘されている。

 最近のメタ解析によると、屋内労働者は屋外労働者に比べて血中ビタミンD値が有意に低下しており、これはUVRへの曝露が少ないことに起因すると考えられた。これまでの疫学研究で、太陽光紫外線B波(UVB)による乳がん予防効果が示唆されているが、十分な証拠は得られていない。Pedersen氏らの今回の解析は、客観的な生涯職歴情報を使用し、職業的UVR曝露と乳がんとの関連を検討した初の研究になるという。

 研究では、デンマークのがん登録により特定された70歳未満の原発性乳がんの女性3万8,375例と、同年齢で診断時に生存している非乳がん女性の対照群19万1,875例(症例1例に対し対照5例を市民登録からランダムに抽出)を比較した。デンマークのSupplementary Pension Fund Registerを使用して18歳以上の全職歴を取得し、job exposure matrix(JEM)により職業的UVR曝露を評価。条件付きロジスティック回帰分析を用いて乳がん発症のオッズ比(OR)を推定し、職業的UVR曝露の期間や累積曝露(職業的曝露期間と曝露レベルの積を全職歴で合算)が乳がんリスクに及ぼす影響を検討した。

50歳以上の乳がんリスク低下に関連

 症例群の乳がんサブタイプは、エストロゲン受容体(ER)陰性が18.5%、ER陽性が67.9%、不明が13.6%。症例群は対照群よりも教育水準が高く(高校卒後教育歴5年以上4.9% vs.4.8%)、平均経産回数が少なく(1.8人 vs.1.9人)、平均初産年齢が高かった(27.2歳 vs.26.9歳)。経産回数、初産年齢および職業関連身体活動を調整した結果、全体的な乳がんリスクに対する職業的UVR曝露の明らかな影響は示されなかったが、リスクは曝露期間が長くなると低下する傾向が見られた。

 UVR曝露と晩期発症型(50歳以上)乳がんのリスクは、曝露期間および累積曝露に用量反応関係を示し、UVRへの20年以上の長期曝露(OR 0.83、95%CI 0.75~0.92)および累積曝露最高位で低下した(対照群の累積曝露75パーセンタイル以上に対するOR 0.89、同0.83~0.95)。

 乳がんのサブタイプ(ER陰性/陽性)にかかわらず曝露期間が長くなるとリスクは低下する傾向にあり、ERの状態による明らかなリスクの違いは見られなかった。

職業的UVR曝露評価は信頼性が高い

 Pedersen氏らは「人口に基づく大規模症例対照研究で、職業的UVR曝露がホルモン受容体の状態とは無関係に、50歳以上の乳がんリスクに若干の保護効果をもたらす可能性が示された。この関連性は、重要な交絡因子を含むより高度な研究で今後確認する必要がある」と結論付けている。

 UVR曝露と乳がんリスクに関するこれまでの研究結果の不一致について、同氏は「主に居住地の緯度に基づく環境UVRや屋外で過ごした自己申告時間など、UVR曝露にさまざまな指標を使用したことが一因の可能性がある」と指摘。同氏は「われわれの研究結果は、自己申告時間を主に使用した研究によって裏付けられている( Environ Health Perspect 2020;128:16002 )。実際のUVR曝露の代用指標として、客観的な生涯職歴を使用した職業的UVR曝露は横断的な環境測定値よりも正確で、自己申告よりも長期曝露に関するより信頼性の高い指標である可能性が高い」と考察している。(坂田真子)

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