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「教えて!ドクター」の健康子育て塾

医療・健康・介護のコラム

日本脳炎ワクチンが足りず予防接種に影響……どうすればいい?

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ワクチンは3歳になってから複数回接種する

 日本脳炎ワクチンは、複数回接種が必要なワクチンです。第1期(接種回数3回)と第2期(接種回数1回)の計4回接種します。標準的な接種時期は、第1期は3歳になった時に、6日~28日の間隔を空けて2回皮下接種。2回目を接種した1年後(6か月~1年後)に3回目を打ちます。第2期は9歳~10歳の時に1回追加接種します。第2期が必要な理由は、第1期を接種していても時間がたつと抗体価が少しずつ下がって効果が低くなる恐れがあるためです。

 現在、国内の日本脳炎の抗体保有率は3歳以上で上昇し、5歳になると軒並み90%を超えています。これは定期接種による効果と考えられています(4)。やはり非常に有効なワクチンなのですね。

神経症状のリスクが問題になり2009年から新しいワクチンに

 日本脳炎ワクチンについては、以前使用されていたワクチンの接種後に神経症状の出現リスクが問題になったことがあり、2005年にいったん接種勧奨が差し控えられました。しかし、2009年に安全な新しい日本脳炎ワクチンが承認され、その後接種勧奨が再開されて今に至ります。また、この病気は主に西日本での報告数が多かったことから、2015年までは北海道では自治体が行う定期接種ではありませんでした。しかし今は多くの方々が全国を往来する時代です。そこで2016年4月から北海道でも日本脳炎ワクチンの定期接種が開始され、今は全国で定期接種になっています。

 ちなみにワクチンの副反応としては発熱(18.7%)や注射部位の発赤(8.9%)などが3日以内にみられることが多いとされています(5)。

接種が延期になっても大丈夫なのか?

 さてようやく本題です。

 厚生労働省は1月15日付で、日本脳炎ワクチンを製造している2社のうち、1社のワクチンの製造が一時停止(現在は製造再開)した影響を受けて、2021年度の特に前半に、ワクチンの供給量が大幅に減少し、出荷量の調整が行われる見込みであると発表しました(6)。

 また、同時に、医療機関では供給が安定するまでの間、4回接種のうち1期の2回(1回目及び2回目)の接種を優先するようにとしています(つまり3回目と4回目は後回し)。

 本来3回目を接種するはずだったのに、2回までしか接種してなくても大丈夫?というご質問には次のように考えます。

 日本脳炎ワクチンの接種回数ごとの比較をしたデータをご紹介します。3回接種していた場合、5~9歳では90%以上抗体価が陽性となっています。一方1~2回接種者では60~80%ほどになります(7)。

 したがって、できる限り規定の接種回数(Ⅰ期は3回)を受けたほうがよいのですが、一方で1~2回でも抗体価はある程度上がっているとも言えます。したがって、まずは接種できる1~2回分が接種済みの場合、3回目を接種できていないと焦らなくてもよいと考えます。

 いっぽう、今回ワクチンがなく、1回目や2回目を接種できていない方もいらっしゃるかもしれません。実際、ワクチン供給はどうしてもムラが出てしまうものです。少ないながらも接種を延期せざるを得ないケースも出てきているようです。

 かかりつけ医にワクチンがなかった場合、まずは他のクリニックにもご確認いただければと思います。流通に差がある場合もあるためです。それでも接種できなかった場合ですが、ワクチン製造は既に再開しており、21年度後半には流通は回復の見通しです。したがって実際そこまで焦る必要はないと思います。もちろん保護者として、できる対策は取っておきたいですね、そこでこれを機に「蚊に刺されない」対策をもう一度見直してみましょう。

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坂本昌彦(さかもと・まさひこ)

 佐久総合病院佐久医療センター・小児科医長
 2004年名古屋大学医学部卒。愛知県や福島県で勤務した後、12年、タイ・マヒドン大学で熱帯医学研修。13年、ネパールの病院で小児科医として勤務。14年より現職。専門は小児救急、国際保健(渡航医学)。日本小児科学会、日本小児救急医学会、日本国際保健医療学会、日本国際小児保健学会に所属。日本小児科学会では小児救急委員、健やか親子21委員。小児科学会専門医、熱帯医学ディプロマ。現在は、保護者の啓発と救急外来の負担軽減を目的とした「教えて!ドクター」プロジェクトの責任者を務めている(同プロジェクトは18年度、キッズデザイン協議会会長賞、グッドデザイン賞を受賞)。

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