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今春のスギ花粉飛散「例年より少ない」…予測した教授「かゆくても顔を触らないで」
今春のスギ花粉の飛散は「例年より少ない」との予測を、滋賀医科大耳鼻咽喉科学講座の清水猛史教授が発表した。新型コロナウイルスの感染拡大のなか、清水教授は「花粉を避ける生活を心がけ、かゆくても感染防止のため、なるべく顔を触らないで」と呼びかけている。(生田ちひろ)

「新型コロナ感染防止のため、なるべく顔を触らないで」と呼びかける清水教授(大津市で)
清水教授は1995年から毎年2~5月、大津市の同大学屋上でスギ花粉の飛散量を計測。前年7月の天候が、過去10年と比べて▽平均気温が高い▽日照時間が長い▽降水量が少ない――の条件がそろうと、翌年の飛散量が多いという。
2020年7月は平均気温が24・7度で過去10年の平均(26・9度)を下回り、日照時間は過去10年で最短、降水量は逆に最も多く、飛散量の減少の条件がそろっていた。飛散量は1年ごとに増減する傾向があるといい、今年は多い年にあたる。清水教授は「過去10年で最も少なかった昨年よりは多いが、気象条件から、例年よりは少ないとみられる」としている。
清水教授によると、日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会が19年に行った全国調査(対象者1万9738人)で、スギ花粉症の有病率は38・8%と、1998年(16・2%)に比べて大幅に増えていた。10~50歳代は2人に1人、5~9歳も3割が
増加理由として、清水教授は、50~70年代にスギやヒノキが数多く植えられた国の植林政策を指摘。県によると、県内の森林20万1589ヘクタールのうち、スギの人工林が4万5129ヘクタール(22%)、ヒノキの人工林が3万2866ヘクタール(16%)を占める。清水教授は「その多くが花粉を飛ばす樹齢に達した」とする。
対策として、▽飛散の多い日中の外出を避ける▽マスクや専用めがねを使う▽症状が軽い段階で服薬する――などを挙げる。根治療法として、3~5年で効果が表れる「舌下免疫療法」も紹介。4~5割の人はヒノキ花粉症にも有効という。
また、新型コロナウイルスの症状と迷った場合、発熱外来や保健所に連絡するよう呼びかけている。
スギ花粉飛散情報は滋賀医科大耳鼻咽喉科学教室のホームページ( http://www.shiga-med.ac.jp/~hqotola/ )。