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希少疾患への社会的偏見をなくそう!オンラインでシンポジウム開催

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 患者数が極めて少ない「希少疾患」の社会的偏見の解消をテーマにした「Rare Disease Day 2021 シンポジウム」(主催:武田薬品工業株式会社、RDD日本開催事務局)が14日、オンライン配信で行われた。パネリストらが、周りの理解が得られずに体験したつらさや、理解を求めるための活動内容などを発表した。

 このシンポジウムは、希少・難治性疾患の人たちの生活の質(QOL)の向上を目指した世界的な社会啓発イベント「Rare Disease Day(世界希少・難治性疾患の日)の一環として開かれた。

オンラインで配信されたシンポジウム(2月14日、東京・中央区の武田グローバル本社で)

 

疲れ、痛み…見た目で分からない症状による偏見

熊谷晋一郎さん

熊谷晋一郎さん

 希少疾患には、パーキンソン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、網膜色素変性症など、世界に7000種類以上あると言われている。遺伝性のものもあるが、その多くは原因がはっきりせず、治療法も確立していないため、通院し体調に気を配っていても、疲れやすくなったり、痛みや筋力の低下が起こったりすることがある。しかし、見た目では分からない症状も多く、周囲から「なまけている」「さぼっている」「病気に甘えている」などと責められ、悩む患者が多いという。

 

酒井規夫さん

酒井規夫さん

 冒頭のスピーチでは、自身も脳性まひを持つ、東京大学先端科学技術研究センター准教授の熊谷晋一郎さんがスティグマ(社会的偏見)について解説。「『ラベリング』『ステレオタイプ』『隔離』『偏見』『差別』などによって、人々をカテゴリー化、序列化してしまう人間の認知・行動パターンを示す言葉だ」と説明した。

 また、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻教授の酒井規夫さんが、社会的偏見の事例を紹介。例えば、代謝疾患により無汗症や四肢末端痛のある人が、会社から「根性が足りない」と言われ続けて退職せざるを得なかった社会人、結婚生活を長期間続けてきたのに、夫に遺伝性疾患があることが分かり、離婚することになった夫婦の例などを紹介した。

 

「誰だって疲れている…」理解されず、相談できないつらさ

秀島晴美さん

秀島晴美さん

 後半のパネルディスカッションでは、潰瘍性大腸炎の患者で、患者団体の理事も務める秀島晴美さんが、自身の体験に加え、「疲れているのは、あなただけじゃない。誰だって疲れている」と言われたり、治らない病気なのに、「しっかり治して仕事に戻っておいで」と言われたりした、といった潰瘍性大腸炎当事者たちの声を紹介した。「患者は病気への理解が得られない中、仕事への責任感から無理をしてしまいがちだ。頑張りすぎなくても生きていける社会になってほしい」と訴えた。

 

富田宇宙さん

富田宇宙さん

 続いて、網膜色素変性症の患者でパラアスリートの富田宇宙さんは、「障害の進行具合によって、自身に向けられる社会的偏見が変化している」と述べた。軽度の頃、視野狭窄きょうさくになり、相手に気付かないと「不愛想だ」と誤解された。中度になり白杖はくじょうを持つようになると、哀れみ、さげすみ、過度の配慮を受けるようになった。さらに、重度になると、家を借りたり、レストランで食事するのを断られたりするようになり、周りからは「不幸な人」と一方的な見方をされるようになった……など、自身のつらい体験を赤裸々に披露した。

「人はみんな、弱さや限界がある」気付くことが大切

 富田さんは「(社会的偏見をなくしていくには)人それぞれが、何かしらの弱点やコンプレックスを抱えている存在であることを意識して、対等な立場で交流することが大切」と呼びかけた。

 最後に、熊谷さんが「社会的偏見は(希少疾患を抱える)少数者だけの問題ではない。みんなが自分の中にある弱さや限界に気付き、それをオープンにできる文化を作っていくことが偏見の解消につながっていく」と締めくくった。

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