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街で障害のある人と出会ったら~共生社会のマナー

医療・健康・介護のコラム

視覚障害がある人の大学入試 「試験時間の延長」が必要な理由

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 ヨミドクターをご覧の皆様、サービス介助士アドバイザーの平野恵です。受験生にとっては、コロナ禍で大変な入試シーズンになりました。今回は、視覚障害者が直面する入学試験におけるバリアについてご紹介します。

受験要項に「点字受験可能」とあったのに…

視覚障害がある人の大学入試 「試験時間の延長」が必要な理由

 視覚障害者にとって、晴眼者(視覚に障害のない人)と同じ環境で試験問題を解くのが難しいことは、想像にたやすいことでしょう。文字を見ることができない人には、点字や読み上げで問題を提示する必要がありますが、まだまだ準備ができていない学校もあります。

 過去には、点字での受験申し込みをした人が、試験当日の1週間前になって、学校側から点字の問題を作成することができなかったことを理由に、口頭試問へ変更されたこともあったそうです。受験要項に書かれていた「点字受験可能」という配慮事項どおり、決められた期間内に申請しているにもかかわらず、対応できないというのは問題です。受け入れる大学が、受験者一人ひとりに誠実に向き合ってほしいと思います。

 視力が弱い、見える範囲が狭い弱視者は、拡大文字の準備があると受験ができますが、読みやすい文字の大きさは人それぞれ異なるため、おのおの別の試験問題を作成する必要があります。しかし現状では、10ポイントの文字を1.4倍に拡大したものしか用意されていないことが多いのです。紙の大きさを変えず、単純に文字を拡大するだけでは、それぞれの見え方に対応させることには限界があります。人により、印刷する紙の大きさを変えれば、文字の大きさも柔軟に変えることができます。

一般に「1.5倍の時間が必要」と

 また、視覚障害者が入試を受ける場合には、試験時間の延長が望ましいのですが、延長が認められていない学校もあります。点字使用者は、基本的に、晴眼者の1.5倍の時間が必要と言われていますが、図やグラフの解読が必要な数学や社会、長文読解が必要な英語や国語など、教科によっても必要な延長時間は異なるため、一律ではなく、柔軟に必要な時間を決められたらいいと思います。

 最近では、読み上げソフトを使用し、パソコンで回答する方式も登場していますが、セキュリティーの観点から、導入する大学は少ないのが現状です。

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冨樫 正義(とがし・まさよし)

冨樫 正義(とがし・まさよし)
 1973年、埼玉県生まれ。桜美林大学大学院卒(老年学研究科修士号)。東洋大学国際観光学部非常勤講師。法律事務所、不動産関係会社、人事コンサルタント、専門学校講師を経て、現在、サービス介助士、防災介助士、認知症介助士などを認定・運営する団体「公益財団法人日本ケアフィット共育機構」(0120‐0610‐64)のインストラクターとして、年間50社以上の企業対象研修を担当するほか、企業のバリアフリー・ユニバーサルデザインのコンサルティングも行う。

平野 恵(ひらの・めぐみ)

平野 恵(ひらの・めぐみ)
 視覚障害と軽度の移動機能障害がある。2歳から4歳まで盲学校幼稚部、その後、小学校から高校まで養護学校(現在の特別支援学校)に通い、高校まで車いすを使用して生活をしていたが、大学入学後の訓練を経て、現在では白杖のみで歩行している。日本ケアフィット共育機構事務局に勤務。サービス介助士アドバイザー。

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