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認知症×発達障害 岡崎家のトリプルケア

医療・健康・介護のコラム

同居してれば助かった? 突然の死に後悔だらけ…さよなら母さん(中)

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同居してれば助かった? 突然の死で後悔だらけ…さよなら母さん(中)

漫画・日野あかね

検案費用は遺族持ち

 実家のお風呂場で、変わり果てた姿の母さんを発見した私。「これは悪い夢に違いない!」と、葬儀社の車で運ばれていく母さんをぼうぜんと見送ると、葬儀社の担当者がすまなそうに「今後のお話をしましょう」と切り出してきました。

 彼の説明では、検案が行われる病院とのやり取りはすべて葬儀社が担当し、費用もいったん立て替えるが、葬儀社の安置所へ遺体が戻ってきたときにすぐに現金で支払ってほしいとのこと。その額、5~10万円ぐらい。

 湯船に沈んだ母さんの痛々しい姿がフラッシュバックして、まだ涙が乾かない状態でも、遺族として対応しなくてはいけないことがあるようです。財布から銀行のカードを取り出し、夫のヒロさんにATMでお金を引き出すようにお願いしました。

 「葬儀など、それから先のことは検案が終わらないとなんとも……」とのことで、検案終了後に警察から私に連絡があるので、とりあえず、それを待っていてほしいというのです。

こんな時でもおなかは減る

 ヒロさんの両親に息子のたー君を託し、私はヒロさんと自宅に戻りました。そして、少しずつ冷静さを取り戻し始めると、さまざまな思いが込み上げてきたのです。

 父さんが老人ホームに入所したあとは、母さんは要介護状態での独居だったため、私も心の片隅では、最悪の事態が起きることも覚悟していたつもりでした。それでも「一人の時にお風呂に入らないように、もっと強く言っていれば」「もし、同居していたら」など、次々と後悔の波が押し寄せてくるのです。

 もし誰かがそばにいたら、私も母さんの顔をすぐに見られただろうし、なきがらに寄り添い手を合わせることもできたはずです。親が亡くなったときに、普通にできると思っていたことが、何ひとつできないもどかしさ。コロナ禍の影響で、母さんがいつ検案から戻ってくるかもわからない。悲しみ、悔しさ、怒り……人間の負の感情が入れ替わり立ち替わりで襲ってきます。

 ふと、日付が変わろうとしているのに、お昼の後は何も食べていないことに気がつきました。こんなときでもおなかが減る自分に幻滅しながら、ご近所さんが差し入れてくれたあんパンを無力にかじることしかできない夜を過ごしました。

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認知症×発達障害 岡崎家のトリプルケア

岡崎杏里(おかざき・あんり)
 ライター、エッセイスト
 1975年生まれ。23歳で始まった認知症の父親の介護と、卵巣がんを患った母親の看病の日々をつづったエッセー&コミック『笑う介護。』(漫画・松本ぷりっつ、成美堂出版)や『みんなの認知症』(同)などの著書がある。2011年に結婚、13年に長男を出産。介護と育児の日々を送りながら、雑誌などで介護に関する記事の執筆を行う。岡崎家で日夜、生まれる面白エピソードを紹介するブログ「続・『笑う介護。』」も人気。

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日野あかね(ひの・あかね)
 漫画家
 北海道在住。2005年にステージ4の悪性リンパ腫と宣告された夫が、治療を受けて生還するまでを描いたコミックエッセー『のほほん亭主、がんになる。』(ぶんか社)を12年に出版。16年には、自宅で介護していた認知症の義母をみとった。現在は、レディースコミック『ほんとうに泣ける話』『家庭サスペンス』などでグルメ漫画を連載。看護師の資格を持ち、執筆の傍ら、グループホームで介護スタッフとして勤務している。

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1件 のコメント

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お風呂での死

スミレ

同居していても防げませんよ。数年前に姑がお風呂で…。あれっ?少し長いなと感じてのぞきに行くと、ドアーの外まで大きないびきが聞こえてた。風呂の中で...

同居していても防げませんよ。数年前に姑がお風呂で…。あれっ?少し長いなと感じてのぞきに行くと、ドアーの外まで大きないびきが聞こえてた。風呂の中で座ったまま。慌てて夫と息子で抱き上げる。これがまたとても重いんですよ(体重は45キロぐらいなのに)。救急車で運んでもらったが手遅れでした。

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