新・のぶさんのペイシェント・カフェ 鈴木信行
医療・健康・介護のコラム
「制度を利用はするが、依存はしない」 足こぎ車いす「COGY(コギー)」の普及を目指して活動
ここは、ある下町にあるという架空のカフェ。オーナーののぶさんのいれるコーヒーの香りに誘われ、今日もすてきなゲストが訪れて、話が弾んでいるようだ。(ゲストとの対話を、上下2回に分けてお届けします)
【今月のゲスト】
香取久之(かとり ひさゆき)さん
1970年、東京都生まれ。社会保険労務士、2級FP技能士、年金アドバイザー2級、DA(ダイバーシティ・アテンダント)検定認定者、剣道二段。三度の飯より格闘技観戦が大好き。そして、何よりもダジャレをこよなく愛する下町の難病オジサン。告げられた病名は疑いも含めアイザックス症候群、線維筋痛症(FM)、複合性局所疼痛(とうつう)症候群(CRPS)、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)など多数。
94年製薬会社に入社、2013年退職。15年NPO法人「希少難病ネットつながる(RDneT アールディネット)」設立。希少難病やヘルプマークの周知啓発、『日本発!世界初!あきらめない人の足こぎ車いすCOGY(コギー)』の普及など、皆が生きやすい社会の創造を目指し活動している。
「希少難病ネットつながる(RDneT)」 https://rdnet.jp/
NPO法人希少難病ネットつながる(RDneT アールディネット) 香取久之さん
今日のカフェには、NPO法人「希少難病ネットつながる(RDneT アールディネット)」の理事長の香取久之さんがお越しになり、私に話を聞かせてくれている。彼は、アイザックス症候群などによる痛みの症状が強くあり、さらに、現在は大腸がんの治療にも向き合っている。
「難病や障害のある方にとって、制度に依存しすぎないことが大切で、そのためには役立つ情報が集約され、共有できる仕組みが必要だと考えているんです」
香取さんとは異なるが、私自身、生まれつきの二分脊椎という病気を持つ、身体障がい者だ。多くの制度に助けられて日常を過ごしている。
「企業、医療者、支援者、研究者、専門家、そして病気を持った当事者が、同じプラットフォームで知識や知恵を共有したら、やる気や能力のある当事者がもっと活躍できる社会が実現できると思うんですよ。のぶさんがそうですよね?」
私のことを突然に言われた。確かに、制度は利用しているが、そこに依存はしていない。
多くの立場の方がつながり、お互いに今できることを実践していく場が必要であり、それを形にするのがこのNPO法人だという。
在宅療養支援診療所「つむぐクリニック」も経営
「RDneT」の活動は多岐にわたる。
「疾患ごとに患者が集まる会は多くありますけど、私自身の病名が十数年もわからなかったこともあり、疾患には関係なく、ワンストップサービスを提供できる場を創りたいと思っているんです。医療的なことだけではなく、生活や仕事などのマッチングもでき、社会参加するきっかけにしてほしいんです」
情報の共有のために、動画配信サイトによる発信や講演会を開催している。SNSを使い、より多くの方に広く情報が行き渡るようにしている。
そして、つながるためには、交流会やイベントを開催し、SNSなども活用し、難病や障害があっても参加でき、お互いを知ることのできる場を創っている。
さらに、幅広い活動を実践に移している。その最たるものが在宅療養支援診療所「つむぐクリニック」を経営していることだろうか。NPO法人がクリニックを経営しているというのだ。他にも研究やヘルプマーク普及をはじめとしたプロジェクトに多数取り組んでおり、その視野の広さと、積極的な活動には頭が下がる。
これらのために、香取さんは、ほぼ毎日、しかも早朝から夜遅くまでオフィスなどで活動しているという。
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