新・のぶさんのペイシェント・カフェ 鈴木信行
医療・健康・介護のコラム
「制度を利用はするが、依存はしない」 足こぎ車いす「COGY(コギー)」の普及を目指して活動
「自分ひとりの力で動けるようになる可能性があるんです」
今、特に力を入れていることを尋ねてみた。
「のぶさんは、『COGY(コギー)』って知っていますか?」
香取さんがクラウドファンディングで「自分の力で一歩前へ。足こぎ車いすCOGYを届けたい!」というプロジェクトを行っていたことを思い出した。COGYは、東北大学大学院医学系研究科の研究により生まれた、自転車と車いすを組み合わせたような作りをしているおしゃれなモビリティー(移動手段)だ。
私たち二分脊椎の仲間の多くは、足をあまり動かせないため、自転車に乗ることができない。それでも、体が本来持つ反射の機能を使い、足でこげるというのだ。
「これまでだと誰かのサポートがないと移動できない方が、自分ひとりの力で動けるようになる可能性があるんです」
車いすは上腕の力が必要になり、上り坂や長距離の移動に難がある方も少なくない。それをCOGYでは、非常に軽い力でペダルをこげる。二分脊椎や脳性まひ、パーキンソン病、脳梗塞(こうそく)、脊髄損傷など難病や障害のある方、足腰の弱った高齢者では、単なる移動手段にとどまらず、リハビリテーションを兼ねられる場合もあるという。
「この新しい『あきらめない人の車いす』COGYを、多くの方に知っていただき、必要とされる方が必要に応じて使える仕組みを作ることに、命を懸けてますよ」
笑いながら彼は言う。
常時、激しい痛みがあり、ステージ4のがんと闘病する彼が、自分のすべてを傾けて、自分の目指す社会を創るために、この瞬間を生き抜いている。
「自分の力で一歩前へ」
今の私は、自分の力で、一歩前に進んでいるだろうか。暖かな空気が流れていたカフェ。彼が店を出ると、外からは強く、冷たい風が流れてきた。
自分の生き方を、ハッとさせられた彼の話は、強い刺激として私の記憶に焼き付けられた。(鈴木信行 患医ねっと代表)
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去年の1月に脳内出血を発症して左半身にまひが残ってしまい、コギーに興味があります。社会復帰を目指して一人暮らしをしています。家族の理解とボランティア仲間の協力で生活しています。社会復帰したら、またボランティア活動をしたいと考えています。
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